茨城県からIターンして就農した安崎慶太さん

複数品目生産に挑戦

 「農業がしたい一心で徳島に来た」。7年前に茨城県龍ケ崎市からIターンして就農した。1ヘクタールでホワイトコーンや加工用キャベツなど数種類の野菜を栽培しており、「やっといろんなことができるようになってきた」とうなずく。

 農業のスタートは、藍住町の農業法人「あんちゃんふぁーむ」だった。玉川大農学部在学中に徳島県の農業インターンシップで訪れた縁で、卒業後に就職。3年ほど勤務して、2017年6月に独立した。いずれは、あんちゃんふぁーむに戻る予定だ。「勉強期間として栽培方法の善しあしを試し、経理などの経験を積みたい」という。

 現在力を入れているのはホワイトコーン。一般的なトウモロコシより甘く、流通量が少ないため単価も高い。東京のスーパーや県内ホテルに卸すほか、個人向けにも販売している。

 「収穫時期を逃して、1本も取れない大失敗をしたこともある。やっとお客さんから『おいしい』『もっと買いたい』との声を聞けるようになってきた」

 あんちゃんふぁーむは藍住町特産のニンジンが主力だ。価格動向に左右されて経営が不安定にならないよう、珍しい野菜も栽培している。色鮮やかな紫大根や、苦みの少ない「こどもピーマン」、中華料理に使う「カイラン菜」など十数種類に上る。

 そうした経験から、自らも複数品目の生産に挑戦している。「さまざまな作物に取り組むには知識も技術も手間も必要で大変だけれど、その分だけやりがいがある」。品目を増やしたり減らしたり、うまく組み合わせて作業時期を分散させたりと知恵を絞っている。ホワイトコーンなど成果の出た品目は、あんちゃんふぁーむに戻った際に栽培する考えだ。

 非農家の出身。子どもの頃から何かを育てるのが好きで、小学生のときにホームセンターで売っている野菜苗を親にせがみ、家庭菜園を始めた。中学生になると種苗店の紹介で休耕地を無償で借り、菜園を8アールに拡大。トウモロコシやキャベツの世話に励んだ。農業の道に進んだのは自然な流れだった。

 25歳のときに、あんちゃんふぁーむ代表の安崎浩二さん(60)の養子になった。「農業は、誰もが生きていく上で、なくてはならない。家族や法人の従業員と一緒に、食べてくれた人に笑顔になってもらえる野菜を作り続けたい」と誓う。

 意欲ある就農希望者の受け皿が必要だとも感じている。「新規雇用につなげるには、しっかりと売り上げを伸ばして経営基盤を強化していくのも重要だ」。徳島の農を支えようと、試行錯誤を続ける。