巣立ちした百(左)と雌の親鳥=22日午後3時ごろ、鳴門市大麻町

 鳴門市大麻町で3月に生まれたコウノトリの雌のひな2羽のうち1羽(識別番号J0182)が22日、巣立ちした。大麻町では昨春に生まれた3羽が巣立っており、2年連続の巣立ちとなった。市は同日、巣立ったひなを「百(もも)」、もう1羽(J0181)を「歌(うた)」と名付けたと発表した。

 市によると、2羽の名前はベートーベンの「第九交響曲」にちなんだ。6月1日にアジア初演100年を迎えることと、第4楽章「歓喜の歌」から取った。

 百はこの日午後0時56分ごろ、巣から飛び立ち、上空を1分間ほど飛行してから、南側の田んぼに降りた。巣に戻った後、再び降り立つと、近くの親鳥2羽が餌を捕るのをまねするように、地面をつついていた。

 歌は巣の上で羽ばたいて垂直に飛び上がることはあったが、巣を離れることはなかった。

 コウノトリの撮影が趣味だという北島町新喜来、無職久米安男さん(79)は「親と同じ大きさにまで育ち、無事に巣立って感動した。これからも撮影しながら見守りたい」と話した。

 名前の候補は4月に全国公募し、134件(有効分)の応募があった。2羽の性別が判明した後、市幹部らでつくる「市コウノトリ対策会議」が決めた。

 市は6月、2羽に特別住民票を交付する。