菌床シイタケを栽培する三セク「上勝バイオ」。経営再建が急務だ=上勝町旭

 「債務超過に陥った会社は解散すべきだ。町が資本増資をしてまで経営を続ける必要があるのか」。昨年9月の徳島県上勝町議会定例会で明本惠一町議が厳しく町に問うたのは、同町の第三セクターの一つ、上勝バイオの経営だ。2019年度決算で6年ぶりの債務超過に転落した。地元の雇用を支える一方、町財政への負担にならないかと危惧する声は少なくない。

 菌床シイタケの栽培を主な業務とする上勝バイオは雇用創出を目的に1991年に設立された。一時は毎年2500万円以上の経常利益を生む優良企業として町に欠かせない存在だった。

 雲行きが怪しくなったのは98年。中国産シイタケの輸入増による価格低下や、人工ホダ木の品質悪化で大量の在庫処分が発生するなどして、98年度は約1億円の赤字を出した。その後も町からの金銭支援を受けながら事業を継続してきたが、経営が劇的に回復することはなかった。

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 上勝バイオの決算資料によると、19年度末時点で同社の純資産はマイナス660万円。資産を全て処分しても借金を返せない形で、民間企業なら倒産が危ぶまれる状況だ。赤字が続くようなら解散すれば―。だが同社にはそれができない理由がある。

 町は財務状況を改善するため14年度、2億6千万円を出資した。実質的な町負担が3割で済む国の過疎債を活用したが、これには目的外使用を禁止するルールが定められている。解散するならこれまでに償還された一部を除き、約2億円を即時、国に返還しなければならない。

 町は17年、小松島市でシイタケの生産販売会社を経営する浜田光且(みつあき)氏を社長に招き、再建に乗り出した。74人いた従業員を10人にまで減らし、事業を大幅縮小して経費を削減。その結果、17年度は6年ぶりの黒字決算になった。

 浜田社長は「解散すれば町民は大きな負担を背負う。何としても経営を維持しなければいけない」。今後も町産シイタケのブランド化や最低限の設備投資が必要と強調する。

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 葉っぱビジネス「彩(いろどり)」で名をはせた三セク・いろどりも、黒字経営を維持しているものの切迫した課題が潜む。生産者の高齢化と担い手不足だ。

 横石知二社長によると生産者は町内に約150人。その半数を70代以上が占める。同社は昨年7月から、若い就農希望者を対象とした長期研修制度を始めたが、利用者はわずか2人にとどまる。

 横石社長は「上勝で暮らしたいが、住む家がなくて断念する人もいた。移住者と雇用人材の確保には住宅整備が欠かせない」と指摘する。ただ、町営住宅全89戸の入居率は3月時点で85%と飽和状態に近い。

 町内の三セクは他にも木材加工の「もくさん」と、月ケ谷温泉を運営する「かみかついっきゅう」がある。三セク全4社の従業員は計44人。いろどりに出荷する生産者などを含めると、人口1500人の町で雇用の受け皿としての存在感は大きい。

 新型コロナウイルスによる経済の低迷は三セク全体に及ぶ。次期町政の担い手は、早急に解決策を練らなければならない。