上位アイデアに選ばれた参加者に徳島で自作したペットボトル再利用によるトロフィーを手渡す松本さん(左)=横浜市

 私たち高校生は大人に何かをお願いするしかないのだろうか?

 そんな疑問への反発心が、プログラムの出発点だった。

 公募で参加した高校生100人がプラスチックによる海洋汚染の解決策を研究する企画「海洋プラ問題を解決するのは君だ!」は、最大の目標を「アイデアの実現」に置き、2020年8月に始まった。企画、立案、運営の全てを徳島文理高3年の松本杏奈さん(18)ら高校生の実行委員が担った。

 科学者を目指す理系の松本さんは19年、東京大のプログラムで東京の文系の男子高生と知り合った。その男子との間で、こんな共通意識が芽生えた。

 「文系の学生が対象のプログラムは解決案をまとめたら終了。理系のプログラムはなぜ、それを解決するのかという議論が欠けている。どちらも一歩足りず、社会にインパクトを残せない。理系文系を組み合わせたプログラムが存在しないのが残念だ」

 場がないなら、自分たちで創ればいい。答えはそこに行き着いた。

 テーマは身近かつ地球規模で課題となっている海洋プラに設定。大人の協力も欠かせず、松本さんらは約70の企業・団体にメールを送った。ほとんど返信がない中、特別協力・協賛・後援などの立場で18企業・団体が応じた。技術面などの助言者も約50人に上った。

 海を漂うプラごみは、世界で少なくとも年間800万トンが流れ込んでいると推定され、50年までに海中のプラスチック量が「世界中の魚の重量を超える」と警告されている。

 企業へのアプローチが門前払いされても、門をたたき続ける行動力。会員制交流サイト(SNS)がすっかり普及したデジタル社会に育ち、オンライン会議はお手の物。高校生たちは持ち味を生かし、大量生産、大量消費の現代社会を背景にした、この深刻な問題に果敢に挑んだ。そして迎えた今年2月の発表会。大人たちが思わず脱帽する成果が次々と披露された。

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 気候変動や海洋プラスチック問題などに関し、厳しい未来が予測されている。その時代の主役になる世代にとっては見過ごせない課題だ。危機の予測に待ったをかけるべく行動を起こした高校生たちを取材した。