個人旅行客向けカウンターの営業を終えた日本旅行徳島支店=徳島駅前

 新型コロナウイルスの流行による観光需要の落ち込みを受け、徳島県内で旅行会社の店舗閉鎖が相次いでいる。統廃合や事業の集約、オンラインでの接客サービスを取り入れるなどして、業務の効率化に着手。緊急事態宣言の全面解除を踏まえ、国の観光支援事業「Go To トラベル」の早期再開を望む声も上がる。

 JTB徳島アミコ店(徳島市)は2月末で閉店した。同社広報室によると、事業構造改革に伴う統廃合店舗の対象となった。一方、営業を続けるイオンモール徳島店(同)と徳島ゆめタウン店(藍住町)ではオンライン相談を始めた。

 スーパーのフジ子会社の「フジ・トラベル・サービス トムズ北島営業所」(北島町)は2月23日で店を閉じた。同社営業企画部によると、中四国の店舗網を整理してフジが基盤とする愛媛、広島両県に事業を集約する。松山市に3月1日、相談を受け付けるコールセンターを設置した。

 徳バス観光サービス阿南営業所(阿南市)は、2月26日に閉鎖した。同社営業部の担当者は「大口取引先だった市内企業が国内外に出張しなくなり、当分回復も見込めない」と説明。昨年末から一時停止となったGoTo事業の再開とワクチン接種の進展に期待しながら「早く元通りに戻ってくれないと、会社を建て直せなくなる」と声を絞り出した。

 近畿日本ツーリスト徳島支店(徳島市)は3月末に窓口業務を終え、4月末に閉店することを取引先などに伝えている。同社中国四国営業管理部は取材に対し「何も答えられない」とした。

営業継続でも...形態維持は困難

 旅行需要の本格的な回復が見込めない中、店舗の閉店を見送った旅行会社は、休日のみの営業や窓口の閉鎖などを強いられている。

 GoTo事業の一時停止を受け、1月7日から臨時休業していたエイチ・アイ・エス徳島営業所(徳島市)は、2月27日から土日祝日のみの営業に切り替えた。平日は中四国カスタマーサポートセンターで電話対応をしている。同社広報室は「主力の海外旅行販売が渡航制限で蒸発している以上、当面は臨時営業を続けざるを得ない」とした。

 日本旅行徳島支店(同市)は1月29日で個人旅行客向けカウンターの営業を終え、団体・法人向けのみ続けることにした。同社秘書広報部は「個人からのわずかな収入だけでは採算が合わなくなり、新型コロナウイルスが収束しても業務形態は元には戻さないだろう」と説明。電話やインターネット予約、オンライン相談に力を入れている。

 個人経営の旅行会社からも嘆き節が漏れる。妻と2人で長年切り盛りしてきた男性は、副業の保険業収入で家計をやり繰りしている。「旅行業一本なら厚生年金保険料を支払えなかった」と打ち明けた。

 コロナ禍前は国内外に向かう団体旅行を扱い、修学旅行の手数料では数十万円を得ていた。それが今は、県の観光支援事業「もっと!とくしま応援割」で1人当たり数百円程度の手数料しか入らない。「店を開けても誰も来ない日がほとんど。いつまで続けるべきか本当に悩んでいる」と話した。