自らの提案で設置してもらったコンタクトレンズの空ケース回収箱と松崎さん=東京都小金井市(本人提供)

 「私たちは気候変動を止められる最後の世代」

 2020年9月25日、国際基督教大高校(東京)3年、松崎真奈さん(18)=徳島市出身=は、そう記した自作のプラカードやポスターを学校に掛け合い、校内に掲示した。

 他にも「SAVE OUR EARTH&FUTURE(私たちの地球、未来を守ろう)」の文字や、解けて小さくなった氷の上で過ごすシロクマの写真で、同級生らに訴え掛けた。気候変動への対策強化を各国政府に促す一斉行動「世界気候アクション」に連動した取り組みだ。

 小学時代から生き物への関心が高く、神山町の県動物愛護管理センターに足しげく通い、犬や猫の命を絶たないでと手紙を送ったこともある。学校で絶滅危惧種について学んだ時には、人気の高いパンダやサイもその恐れがあると知り、衝撃を受けた。もっと知りたいと、親に頼んで世界自然保護基金(WWF)のジュニア会員にしてもらった。

 高校は刺激を求め、古里を離れた。国際基督教大高は生徒の3分の2を海外からの帰国生が占め、松崎さんは「各国で培った多様性が自然と存在する」と感じている。20年5月、米国で黒人男性が警官に膝で首を圧迫され死亡した事件を機に、世界中に広がった黒人差別解消を訴える運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」の折には、帰国生らが次々と会員制交流サイト(SNS)に投稿していた。

 「それまで人種差別を意識することがほぼなかったし、日本では自由が当たり前というくらいの感覚だった。けど、投稿を見て、身の回りにも隣国との間に偏見や差別が存在すると気づかされた」と話す。

 環境問題への関心が高まったのは、高校2年時の少年少女国連大使(日本青年会議所主催)の経験が大きい。全国からの中高生約30人でスイスとスウェーデンを訪問。スイスでは欧州国連本部などを巡り、持続可能な開発目標(SDGs)について学んだ。

 スウェーデンでは生ごみを燃料に動くバス、ペットボトルを入れるとお金が戻る”逆自動販売機“など、環境面の先進的取り組みが驚きの連続だった。また、15歳のときに一人で自国の国会前で座り込みを始めた同国の環境活動家グレタ・トゥンベリさんについて詳しく知る機会にもなった。

 グレタさんに刺激を受けた世界中の若者が始めたのが一斉行動の「世界気候アクション」だ。昨年9月には150カ国以上の約3500カ所で若者が行動に参加した。「一人でも世界を動かせることを彼女から教えられた」と話す松崎さんもその一人だった。

 スイス、スウェーデンで世界の取り組みを目の当たりにし、「知った自分が行動しないと何も広がらないと思い、責任を感じた」。大使を経験した年の冬には、コンタクトレンズのプラスチック製の空ケースをリサイクル用に回収する箱を高校の寮に設置した。取り組みは学校の校舎にも広がり、卒業後は後輩が引き継いでくれる。

 関心事は環境問題にとどまらない。中学の時、同性カップルらを「パートナーシップ」として公認する制度を全国で初めて東京都渋谷区が導入したというニュースに触れ、「恋愛対象が同性というだけでなぜ結婚できないのか」との思いが湧いた。

 他にも、性別に伴う差別が存在したり、人間の経済行為により生物が絶滅したり、プラごみが海にどんどん流出したり。気づけば、周りには数々の理不尽な事があった。「私たちの世代が立ち向かわないと、何も変えられない」。理不尽のない世の中をどう実現するか。このテーマを自らに課し、今後、新たなステージへと歩みを進める。