刈り草から作った堆肥を袋詰めする高校生たち=阿南光高校(吉本旭撮影)

 2016年のエコワングランプリ。快進撃はここから始まった。17年グッドライフアワード、18年地球温暖化防止活動、19年3R推進功労者。これらの舞台で4年連続、環境大臣表彰という快挙を成し遂げた高校生たちのプロジェクトがある。

 阿南光、小松島西高勝浦、小松島、徳島北の4高校の生徒有志による、堤防などの刈り草を堆肥にする取り組み「緑のリサイクル・ソーシャル・エコ・プロジェクト」だ。

 堆肥の名は「もったいない2号」。阿南光高の前身、新野高の生徒が「花いっぱい運動」に携わる中、河川を管理する県南部県民局などが多額の経費をかけて刈り草を焼却処分しているのを知ったのを機に、有効活用する方法を生徒と湯浅正浩教諭(新野高―阿南光高)が考え始めた。

 堆肥化の過程で、最も時間をかけたのが刈り草を発酵、分解させる微生物探しだった。短期間で発酵させる力を持つ微生物を求め、地域内の50カ所ほどから落ち葉を集めた。草と混ぜて発酵具合を試す作業を繰り返し、3年がかりで見つけたのが、阿南市桑野町のJAアグリあなんスタジアム近くの竹やぶで採取した糸状菌で、これを基に、まず「1号」が作られ、さらに改良した「2号」が13年に商品化された。

 県の試験機関からも保水性や通気性など、植物の生育に必要な土壌環境の改善に効果があると認められ、全国で初めて高校生が組織する団体として、肥料取締法に基づく製造業・販売業の営業許可を受けた。

 刈り草を燃やし、大気中の二酸化炭素(CO2)を増やしてしまう社会ではなく、資源として循環し、地球温暖化に待ったをかける社会。この理念は、教師や生徒のつながりを経て他校の生徒にも広がり、それぞれの卒業生も加わった結果、今、チームは約80人に上る。

 評価されたのは、循環社会への貢献だけにとどまらない。堆肥化の作業を手伝ってもらうため、17年から4人の雇用を創出した点も高校生たちのプロジェクトの成果として目に留まった。また、18年からは美波町志和岐地区に県内で唯一自生し、絶滅が危惧されている海浜植物ナミキソウの保護活動と連携し、もったいない2号の活用による生物多様性の保全活動に貢献している。

 表彰を通じ、他のプロジェクトと出合い、活動に広がりも出ている。東日本大震災で被害を受けた岩手県陸前高田市の津波到達点を総延長約170キロにわたり桜でつなぐ取り組みや、東京五輪・パラリンピックの猛暑対策として、競技会場周辺に木陰をつくる取り組みに、それぞれ堆肥が活用されている。県内で深刻な糖尿病対策と地球温暖化対策を兼ね、血糖低下の効果があるとされるパッションフルーツによる「緑のカーテン」の普及にも挑んでいる。

 そして何より、環境活動をリードする「環境人材」を育てている点が最大の成果だろう。阿南光高産業創造科総合サイエンスコース2年の青木優衣さん(17)は「この活動に参加したおかげで、このままCO2の排出を続ければ、海面上昇や災害の巨大化といった悪循環が加速し、未来が大変なことになると知った」と話す。同2年の加林龍治さん(17)がさらに続ける。「周りの人にもっと興味を持ってほしい。今はまだ物足りない。地球の未来がかかっているのに」。生徒の言葉を、湯浅教諭は頼もしく聞き入った。