ヒトエグサの培養・養殖に活用されるアワビ種苗生産施設=牟岐町灘

 徳島県牟岐町は、アワビなどの稚貝を育てる町営の「アワビ種苗生産施設」(同町灘)で、徳島文理大、徳島大、県とともにヒトエグサ(アオサノリ)培養・養殖の共同研究を始めた。施設は、アワビの水揚げ減に伴い運営費を捻出できなくなった指定管理者の漁協が撤退したのを機に、町が新たな施設活用法としてヒトエグサに着目した。2023年末まで研究に取り組み、実用化を目指す。

 端緒は徳島文理大の山本博文教授(薬品製造学)の研究。16年に緑藻類成長因子「サルーシン」の化学合成に成功し、世界で初めてヒトエグサの陸上でのプラント養殖を可能にした。文理大は17年に徳島大とヒトエグサ培養の共同研究に乗り出した。18年に県が加わり、町は今年1月から参画した。

 4月中に、山本教授が約1メートル四方の水槽を搬入し、2~3キロの培養に取り掛かる。流れがある既存の水槽でも同様に培養できるか試みる。研究の経費は文理大が負担する。

 順調なら、室内で培養した5ミリほどの種が数カ月で15~20センチほどに成長するという。

 研究の成果を踏まえ、企業を誘致して実用化したい考え。山本教授は「重金属を含まないきれいな海水がヒトエグサの養殖に向いている。地域を支える産業になれば」と話している。

 アワビ種苗生産施設は、指定管理者の牟岐東、牟岐町の両漁協が漁業者の水揚げ高の3%を運営に充てており、水揚げ高減少による経営難を理由に3月末で撤退した。町産業課は「有効活用してもらえることになって良かった。水産振興につなげたい」としている。

 ヒトエグサはノリの佃煮などの材料になる。国内生産量は年700~950トン前後で、約60%を三重県産が占めている。