徳島市の阿波踊りの主催団体として2018年に組織された阿波おどり実行委員会の解散が決まり、踊り事業の赤字補塡(ほてん)に公金を投じないための策として19年度に導入された民間委託方式も2年で幕を閉じることになった。いずれも遠藤彰良前市長時代の”産物“が否定された格好だ。

 「遠藤前市政の影を排除したいという雰囲気を感じる。『共同事業体外し』ともいえる態度もその一端ではないか」。ある踊り関係者は、今回の背景をそう推察する。

 踊り事業の民間委託は、かつての主催者だった市観光協会の阿波おどり事業特別会計に4億円余りの負債が発覚し、市が補償する形になっていたことを問題視した当時の遠藤市長が先導した。18年夏の踊り事業は遠藤市長を実行委員長とする体制で臨んだが、阿波おどり振興協会の総踊り中止を巡って振興協会と激しく対立。20年4月の市長選では振興協会に推された内藤佐和子氏が当選する。

 内藤氏は、市長選のときから経済団体などが中心となった実行委の体制に懐疑的な見解を示し、「踊りに精通している者がほとんどいない」と指摘。今年3月23日の記者会見では、実行委が自前の資金を持たない組織であることにも触れ、「今の運営体制の不備は明らか。このようなスキーム(仕組み)をどうして前市長が考え出したのか理解できない」と批判した。

 市長の交代という政治の都合で翻弄(ほんろう)されたのが民間3社共同事業体だ。19年度から5年契約で踊り運営を受託していた共同事業体も、一方的に契約を打ち切られる形となった。事業体の構成企業・ネオビエントの藍原理津子社長は契約解除について「寝耳に水。事務局からの一方的な話ばかりで不信感しかない」。十分な説明もないまま振り回された悔しさがにじむ。

 内藤市長は今夏の踊りを「何としてでも開催することで次の世代に受け継ぎたい」と強調する。しかし、実行委に代わる主催者は市が担うのか、運営はどうするのか、現時点では白紙状態だ。本番が4カ月後に迫る中、不協和音ばかりがぞめいている。