徳島市の阿波踊りを主催する阿波おどり実行委員会が3月31日、解散した。同日付で、キョードー東京など民間3社共同事業体と結んだ運営に関する委託契約も解除した。昨年4月の市長選で掲げた「自ら阿波おどり実行委員長に就任する」という公約通り、実行委員長に就いた内藤市長。これまでの阿波踊りに関する言動を振り返る。(日付横の見出しをクリックすると該当記事が読めます。)
2020年3~4月 市長選で阿波おどり実行委員長就任を公約に
選挙期間中、阿波おどり実行委が「意思決定機関として機能していない」と批判。自ら実行委員長に就いて、踊り関係者との対話を密にしながら踊りのイメージ回復を図ることを公約に。2018年夏の阿波踊りで「総踊り中止」を巡り、遠藤彰良・前市長と対立していた阿波おどり振興協会の支援を受けた。
4月5日 市長選で当選
4月18日 市長に就任
4月21日 新型コロナウイルス感染拡大を受け、戦後初めて、夏の4日間の阿波踊り中止を実行委が決定
「400年以上の歴史がある阿波踊りの中止は非常に残念だが、感染者が急増する恐れもあり、市民や観光客の安全を考慮した。実行委としても苦渋の決断だった」
4月27日 実行委員長に就任し「わくわくするような阿波踊りを世界に発信したい」
阿波おどり実行委員会の会合が開かれ、委員長に就任。「
また、同会合では、
11月21、22日 コロナ時代の阿波踊り「阿波おどりネクストモデル」を開催
「本来の良さはなかなか伝えづらいかもしれないが、第一歩になった。出てきた課題を検証し、来年につなげる」
2021年 1月1日 徳島新聞新年特集のインタビューで
「阿波踊りは徳島の文化であり、欠かすことのできない大切なものだ。安全安心の阿波踊りの実現には、関わる全ての人の理解と協力が必要となる。今回のイベント(阿波おどりネクストモデル)の運営形態をベースに今夏の開催に向けて進めていく」
民間事業体が実行委に求めていた2020年の踊り準備費の費用負担などについて、実行委事務局が「応じられない」とする意向を民間事業体に示していたことが分かる。阿波踊りが中止になったことを受け、民間事業体は実行委に対し、開催準備に要した約2100万円の経費負担や年間500万円の固定給付金の免除について協議を提案していた。
これを受けて、民間事業体は実行委員会に協議を継続するよう申し入れた。
1月21日~2月19日 コロナ対策の交付金でLED「徳島城」
徳島市は阿波踊りに向けた機運醸成を目的に、徳島城の天守閣をイメージしたイルミネーションを藍場浜公園に設置。事業費は2千万円で、コロナ対策を目的とした国の地方創生臨時交付金で全額賄う。これに対し、市民からは「税金の無駄遣い」と批判が続出。
1月28日 阿波踊り経費負担は「市民や市議会に説明つかない」一方LED城は「市民生活の支え」
民間事業体が実行委に求める経費負担については「(負担には応じられないとする)事務局の案でなければ、市民や市議会に説明がつかない」。一方で、LED城への批判に対し、「阿波踊りの情報を発信することがコロナ禍における市民生活の支えの一助になる」
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2月16日配信 徳島市の阿波踊り 実行委事務局と事業体、経費負担巡り平行線
2月25日 実行委は事業体が求める費用負担に応じないことを決定
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3月9日配信 【論説委員の目】徳島市の説明不足 独善に陥ってはならない
3月23日 阿波おどり実行委について「今の運営体制は形骸化している」
外部有識者を含めた組織を立ち上げ、実行委の見直しを検討する考えを明らかに。今夏の踊りは「何としてでも開催する」と改めて意欲を見せる。
3月31日 阿波おどり実行委が解散
「踊り開催を安定的に継続していくために、責任を持てる運営体制を再構築する必要があると考えている」と書面でコメント。民間事業体と結ぶ委託契約を解除。
4月1日 年度始めの部長会で阿波踊りに触れず
徳島市の年度始めの部長会では阿波踊りの話題に触れず。
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4月2日配信 【緊急連載 阿波おどり実行委解散 上】「遠藤色」払拭狙う?
4月3日配信【緊急連載 阿波おどり実行委解散 下】 市と事業体に隙間風
4月2日配信 実行委対応を7割余りが「不適切」(本紙アンケート)
4月12日 民間事業体が徳島市に損害賠償を求める方針を表明
事業体総責任者の前田三郎・キョードー東京取締役が都内で会見し、実行委員会事務局を担っていた市側に損害分の賠償を求めると明らかにした。
4月13日 「契約通り粛々と対応した」
記者会見で、阿波おどり実行委員会(3月末に解散)が民間3社共同事業体と結んでいた、踊り運営業務に関する委託契約を解除したことについて「契約通り粛々と対応した」と述べ、正当性を主張した。阿波おどり実行委員会を解散した理由を記者から問われ、答えられなかった。