消費者行政新未来創造オフィスと県の職員が意見を交わす合同会議=10日、県庁のとくしま消費者行政プラットホーム

消費者行政新未来創造オフィスと県の職員が意見を交わす合同会議=10日、県庁のとくしま消費者行政プラットホーム

 消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスが徳島県庁に開設され、24日で1カ月を迎える。地方に実証フィールドを持つ効果を発揮することが同オフィスに求められる中、県などの協力を得て、子どもの事故防止に向けた保護者アンケートの実施や、消費者庁が作った副読本の高校での活用が実現に向けて動き出した。消費者庁側は地方との連携の在り方に手応えを感じている。

 「全国に徳島から成果を発信したい。啓発に関して、どんな効果があったかを知ることが課題だ」。8月10日、子どもの誤飲や遊具などでの事故防止を目指す消費者庁側のプロジェクトチーム(PT)のリーダーが県側との合同会議で切り出した。県は乳幼児検診を実施する市町村や保育所などを通じ、事故防止に関する知識を保護者に問うアンケートを提案。議論は回収率を高める工夫や追跡調査の手法に及んだ。

 オフィスは、子どもの事故防止や若年層への消費者教育のほか、食品ロス削減やエシカル(倫理的)消費の推進といったプロジェクトごとに数人のPTを編成。消費者庁の全面移転を目指す県側も、プロジェクトごとに福祉や教育など関連する部門の職員を集めた作業部会を設けて事業を支える。

 オフィスを率いる日下部英紀参事官が好事例として挙げるのは、ネット通販の契約などに関する消費者トラブルの知識を身に付けてもらう若年者向け消費者教育での県との連携。県教委の協力により、消費者庁が制作した副読本を使った授業が、本年度中にも全高校で実現する見通しとなった。

 オフィスの一角を占める国民生活センターも、南海トラフ巨大地震で大きな被害が想定される県の特性を踏まえた事業を予定。地震の揺れによる給湯器や家具の転倒防止対策の普及を目指し、一般家庭でどんな対策が取られているかの実地調査をする方向で検討を進めている。

 日下部参事官は「霞が関から各都道府県に協力を呼び掛けても、なかなかここまでの協力は得られない。東京ではできないことに取り組み、大きな成果を出したい」と話している。

 ◇江崎担当相、24日来県

 江崎鉄磨消費者行政担当相が24日、就任後初めて徳島県を訪れ、県庁10階の消費者行政新未来創造オフィスなどを視察する。

 江崎担当相は新オフィスで職員に訓示した後に飯泉嘉門知事と面会。消費生活相談窓口となっている県消費者情報センター(徳島市)や、消費者教育を推進するための研究や人材育成を担う鳴門教育大(鳴門市)にも足を運ぶ。


 プロジェクト一覧
 
 ・食品ロス削減
 ・子どもの事故防止
 ・若年者への消費者教育
 ・エシカル(倫理的)消費の普及
 ・栄養成分表示の活用に向けた消費者教育
 ・高齢者見守りネットワーク構築
 ・消費者志向経営の推進
 ・公益通報受け付け体制の整備促進
 ・食品に関するリスクコミュニケーション