今夏の阿波踊りについて協議をした実行委。この後、会合を非公開とし、今後の運営体制などを話し合ったとみられる=2月25日、徳島市役所

 徳島県徳島市の阿波踊りを主催する阿波おどり実行委員会が3月31日、解散した。かねてから踊りの運営体制に不備があると訴えていた実行委員長の内藤佐和子市長が、体制見直しを実行に移した形だ。発足から3年足らず。どうして幕引きに至ったのか。背景を探った。 

 「形骸化した実行委員会では責任を持った決断ができないのではないか。今の運営体制では進むものも進まない」。3月23日、内藤市長は定例記者会見でこう述べ、実行委の体制の見直しを検討する考えを示した。解散が発表されたのはそのわずか8日後。実行委員の任期が切れるタイミングだった。

 実行委の事務局を担っていた市はこれまで、実行委の資金力のなさを問題点に挙げていた。

 そのきっかけとなったのが、新型コロナウイルスの影響で中止となった昨夏の阿波踊り。経費負担などを巡り、踊り事業の運営実務を担う民間3社共同事業体と対立した。

 踊りの中止を決めた昨年4月の実行委で、運営を委託されていた事業体は基本契約に基づき、開催準備にかかった約2100万円の費用分担や年間500万円の固定納付金の免除を実行委に要請した。これに対し、事務局は今年1月に拒否する考えを明らかにし、2月の実行委で全会一致で決定した。

 事務局は拒否の理由として▽民間委託方式を導入したのは、踊り事業が赤字になったときに税金で穴埋めするのを防ぐためだった▽事業体との契約では「事業収支の責任は民間事業者が全て負う」としている―ことを挙げる。

 主催者としての実行委は踊り日程や演舞場の数、設置場所など開催に関する最終的な決定権を持つ一方で、資金はほとんどない。シャトルバス運営や案内所開設といった公共性のある部門の使途に限られた市や県からの補助金を除けば、収入源は事業体からの納付金500万円に限られる。

 事務局はこうした点を主張し、事業体に歩み寄る姿勢は一切見せなかった。

 市議会からも、踊り事業の赤字をカバーするための公金投入には疑問の声が上がる。ある市長与党の議員は「(事業体の)気持ちは分かるが、これまでの経緯から公金の投入は厳しい」と言う。

 そもそも内藤市長は、昨春の市長選時から実行委に懐疑的な見解を示していた。経済団体の関係者が中心となっている組織の実情に触れ、「踊りに精通している者がほとんどいない。運営がおかしいと憤っている市民は少なくない」と選挙公約で訴えている。

 解散した実行委が発足したのも、民間委託の導入を決めたのも遠藤彰良前市長時代のことだった。内藤市長は3月23日の会見で「このようなスキーム(仕組み)をどうして前市長が考え出したのか、理解できない」と批判した。

 委員を務めていた男性はこれまでの経緯を振り返り、こう漏らした。「2月にあった実行委会合で市の見解を聞き、近く解散するのではないかと思っていた。事業体との契約解除も含め、『遠藤色』を打ち消したいのだろう」。