あまりにも強引で唐突ではないか。

 徳島市の阿波踊りを主催する阿波おどり実行委員会が突然解散し、実行委と結んでいた民間3社共同事業体との業務委託契約も一方的に解除した。実行委員長の内藤佐和子市長の意向を反映したものだ。

 実行委の委員に解散を書面で諮ったのは発表の前日だったという。会合も開かずに決定した後、市長は「しっかりと責任を持てる運営体制を再構築する必要がある」などとする短いコメントを出しただけで、会見も開かなかった。これで納得できるわけがない。

 実行委は資金が乏しく、赤字が発生した際の責任が負えないというのが、従来の市長の主張である。その根拠としたのが、新型コロナウイルス感染拡大で中止になった昨夏の阿波踊りを巡る、実行委事務局の市と事業体の対立だ。

 事業体は開催準備に要した2100万円の費用分担と年間500万円の納付金免除を実行委に申し出たものの、市は「遠藤彰良前市政がつくった実行委の枠組みでは赤字補塡(ほてん)できない」とし、これをはねつけてきた。だが、この言い分は説得力に欠ける。

 市議会の承認を得られれば赤字補塡はできる。税金投入が認められないなら、阿波おどり振興基金を使う選択肢もある。市は「市民と議会に説明がつかない」と決めつけ、その努力をしなかっただけではないか。

 驚くのは、事業体との契約解除の理由だ。事業体が契約上支払わなければならない500万円の納付金を納めないことなどが業務不履行に当たるとした。

 基本契約には「不可抗力の発生で事業体の損害・損失や増加費用が生じた場合は、実行委と事業体が協議し、費用負担を決定する」とある。これに沿って事業体が実行委に協議を申し入れても、事務局の市は「経費負担はできない」の一点張りで応じなかった。

 事業体にすれば、契約違反はどちらだとの思いだろう。強引な「事業体外し」としか受け取れない。

 一連の問題で目に付くのは、十分な説明をせず、強権的に物事を押し進める市の姿勢である。実行委事務局長の市経済部長が、徳島青年会議所選出の実行委副委員長に辞任を迫ったとされる一件もあった。

 なぜ、そこまでして運営体制を変えようとするのか。昨年の市長選で支援してくれた阿波踊り関係者を含めた新たな体制をつくるのが狙いだとの見方が広がっている。

 市長はどのような運営体制を考えているか、具体的に示すべきだ。既存の体制を否定し、壊すだけというのは乱暴過ぎる。