徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 アデノウィルス感染症は夏かぜの代表的な疾患ですが、小児では咽頭炎や扁桃炎を起こし、熱が比較的長く続くことがあります。本症は抗菌剤には反応しませんから治療は対症療法に限られます。のどが赤いからとか、扁桃が腫れているからと言って抗菌剤を長期投与することは避けなければなりません。

 アデノウィルス扁桃炎では口蓋扁桃の表面に白色の滲出物が付着することがあり、外見上で細菌感染と区別が難しく、血液検査でも白血球数の増加や炎症反応(CRP)の陽性などが見られますから細菌感染との区別がつかないことがあります。

 アデノウィルスの確定診断のためには迅速検査キットを利用します。アデノウィルスの診断が確定しても特別な治療法がある訳ではありませんが、不必要な抗菌剤を中止することで子どもの負担を減らすことが出来ます。迅速検査を利用して正確な診断をすることは有効な方法であると考えられます。

 アデノウィルスは咽頭炎や扁桃炎などの上気道感染を起こすだけでなく、下気道感染を起こすと重症の肺炎を発生することもあります。ウィルスは咽頭の分泌物の飛沫や接触で感染を起こします。さらにこのウィルスは消化管から糞便中に排出され、糞口感染の原因になります。

 アデノウィルスは石鹸やアルコール消毒薬に比較的強く、環境中に出現すると長期間生存して流行が持続することがあります。また院内感染の原因にもなります。予防には手洗いなどの標準的予防策を十分に講じることが大切です。