3月23日の会見で、阿波踊りの運営体制を見直す考えを明らかにした内藤市長。この8日後、実行委は解散した=徳島市役所

 徳島市の阿波踊りを4カ月後に控え、主催する阿波おどり実行委員会が解散したことを大半の県民が問題視している実態が、徳島新聞「あなたとともに~こちら特報班」のアンケートで浮かび上がった。回答者の76%が解散を「不適切」と捉えており、「問題なし」と考えているのは5%にとどまった。

経緯:阿波おどり実行委は3月31日、会合も開かずに突然、解散した。同時に、中止となった昨夏の阿波踊りの経費負担を巡って対立していたキョードー東京など民間3社共同事業体との契約を一方的に解除した。実行委員長の内藤佐和子市長がかねてから示していた「実行委の体制見直し」の意向を反映した格好だ。 

 徳島新聞は4月1、2日、実行委の対応について、公式LINE登録者らに「問題ない」「不適切だ」「分からないが、今夏の阿波踊りが心配」「その他」-の4つの選択肢から回答の上、その理由を記入してもらった。県内在住の16歳から81歳の250人が回答した。

「対話」がない

「不適切だ」を選んだのは189人。目立ったのが、実行委員長の内藤佐和子市長が昨年4月の市長選で公約に掲げていた「対話」ができていないという指摘。46人が「対話」や「話し合い」というキーワードを使い、その不十分さを指摘した。

 「事業体からの協議要請を全て無視した揚げ句、一方的な契約解除は社会通念上おかしい。徳島市民として恥ずかしい」(徳島市・38歳女性)
 「対話をしないまま切り捨て。市民への納得いく説明もない」(徳島市・41歳女性)
 「赤字の原因は雨天中止とコロナによる中止であり、不可抗力ではないか。業者とまったく対話をしていないことが残念だ」(徳島市・46歳男性)

「こんな土壇場で」

 踊り本番まで4カ月余りのこの時期での方向転換を懸念する声も多い。
 「こんな土壇場に委員会を解散して何を考えているのか理解に苦しむ」(阿南市・41歳)
 「このタイミングは急すぎる」(鳴門市・34歳女性)
 「残り4カ月で体制を整えることができるのか心配」(北島町・67歳男性)

「政争の具」

 踊り運営の民間委託方式は遠藤彰良前市長の遺産。それが否定されたかたちになったのを受け、徳島の財産である阿波踊りが政争の具になっているのではないかとの指摘もあった。

 「首長が変わるだけで方針が180度変わるなら何も進まない」(徳島市・50歳女性)
 「今後の方針が何も示されておらず、遠藤市政の否定としか考えられない」(徳島市・57歳女性)
 「政争の具」(つるぎ町・60歳男性)

「キョードー東京の演出楽しみだった」

 民間共同事業体を構成する3社のうち、全体を統括する役割だった大手イベント会社・キョードー東京による運営や演出に期待していた人から落胆の声も届いた。

 「ライブや夏フェスのようにリストバンドを付けて演舞場を行き来するなど、キョードー東京の提案する新しいスタイルの阿波踊りの楽しみ方を期待していたのに残念」(阿南市・45歳女性)

「問題ない」は12人のみ

 「問題ない」と実行委の対応を支持したのは12人にとどまった。今後の徳島市の対応に期待する声などが寄せられた。

 「徳島市が責任を持って実行してください」(阿南市・77歳男性)
 「開催されるよう願っている」(石井町・32歳女性)
 「市民のための、徳島のための阿波踊りになるための痛みだと思えば仕方ないこと。若い、しがらみのない市長を信じている」(徳島市・57歳男性)

 そのほか、27人が「分からないが、次の阿波踊りが心配」と回答。22人が「その他」を選び、「阿波踊りの原点に帰り、基軸をしっかりして若い人の意見を参考にしてほしい」「祭り本来の目的から離れてしまっている」などの意見を寄せた。

「踊り手や踊りファンは置いてけぼり」

 混乱が続く阿波踊り。興業の視点から語られがちだが、原点に立ち戻るべきだとの意見も。

 「阿波踊りはお祭りであって、お金もうけ(のツール)ではない。お金の問題が発覚してから、楽しめなくなったし、県外の人にも勧めにくくなった。これを機に初めからやり直して、新しい阿波踊りをつくってみてはとも思う」(徳島市・41歳女性・「分からないが、今夏の阿波踊りが心配」と回答)
 「事業者の言い分をうのみにはできないが、話し合いの機会を持たず、一方的にと言うのはあまりにも非常識。採算やもうけ、責任などが優先され、踊り手や踊りを心待ちにしている人はいつも置いてけぼり」(勝浦町・47歳女性・「不適切だ」と回答)

 昨年4月の実行委員長就任時、「次回は今までにない、わくわくするような阿波踊りを世界に発信したい」と抱負を語った内藤市長。徳島県民は今、次の阿波踊りに向けてわくわくしているだろうか。