フレイルサポーター養成講座で測定器具の使い方を学ぶ浜さん(中央)と酒井さん(右手前)=3月20日、美波町の日和佐公民館

 南海トラフ巨大地震などの災害時に、自力で避難が難しい高齢者や障害者らの命をどう守っていくか。人口減少や高齢化が急速に進み、共助を支える地域コミュニティーの存続が危ぶまれる中、防災力だけで命を救うことは限界を迎えつつある。高齢化が一段と進む地域で、不可欠となるのが防災と福祉の連携だ。美波町で始まった新たな取り組みや県外の先進事例を紹介する。 

美波の自主防「西の地防災きずな会」

生活支援で日常的関わり

 美波町は3月20、21両日、加齢で心身機能が低下した状態を予防する「フレイル(虚弱)サポーター」の養成講座を日和佐公民館で開いた。参加した町内の22人の中には、由岐港に近い西の地地区の自主防災組織「西の地防災きずな会」の事務局長浜大吾郎さん(48)=町職員=や酒井勝利会長(76)ら会員8人の姿があった。

 浜さんは「防災や地域づくりに福祉の要素を取り入れたい」と参加理由を説明する。「防災分野は公的な常備消防と消防団、民間の自主防災組織がある。ところが、福祉分野では公的な社会福祉協議会、民生委員はあるけれど住民レベルの活動が見当たらない。その役割を自主防が兼ねればいいと考えた」と話す。

 念頭にあるのは、地域で急速に進む人口減少や高齢化だ。災害時に自力で逃げるのが難しい障害者や高齢者ら要配慮者と日常的な関わりを持っている民生委員も、地域の高齢化でなり手が少なくなっている。

 「一番怖いのは(避難の)諦めだ。外に出てきてくれなければ救えない」と浜さん。「普段から顔の見える関係があって、地域から見守られていると思ってもらえたら動いてくれるはず」と指摘する。

 ただ、防災分野で日常的に関わるのは難しい。そこで高齢者の生活支援など福祉の観点でつながりを持とうと考え、フレイルサポーターに着目した。公民館などでの定期的な体力測定をはじめ、生活習慣や簡単な運動の指導をきっかけに、災害時を見据えた日常的な関わりを持つ狙いがある。

 講座には、町の若手職員らで昨年立ち上げ、浜さんが会長を務める地域づくり団体「美波のSORA(そら)」のメンバーも参加した。次世代の育成なども必要だと考える浜さんは「自主防災組織の年齢層も上がり、いずれは支援を受ける側になる。しかし、人がいないからといって諦めず、できることを考えて実践していく」と力を込める。

 SORAときずな会の両方に属する徳島大・人と地域共創センターの井若和久学術研究員(36)=地域防災学=は「加齢によるフレイルは防災でいう要配慮者になること。サポーターによる平時の予防が防災力向上につながる」と話した。