児童虐待の対応には10年以上の経験が必要と言われながら、徳島県内では経験3年未満の職員が多数おり、研修や専門職採用を求めている―。全国的に児童虐待への対応件数が増加傾向にある中、徳島地方自治研究所が県内の児童虐待対応の担当職員に実施した調査で、そんな職場実態が明らかになった。

 調査は、県と24市町村の担当職員計152人を対象に昨年5月1日時点の状況を聞き、76人から回答を得た(回答率50・0%)。

 回答者のうち、経験年数(通算)が3年未満の割合は46・0%と半数近くに及んだ。3年以上10年未満は32・9%で、10年以上は14・5%だった。

 職種別でみると、行政職は3年未満が73・3%と大半を占め、10年以上は3・3%にとどまる。一方、保健師は3年未満が15・8%、10年以上が31・6%と、定期異動の影響を受けやすい行政職の方が経験年数が短いことが分かる。

 職場体制については73・3%が「不十分」と答えた。うち28・6%が「担当になっても事前研修が受けられず、十分な知識やスキルがないまま担当せざるを得ない」としている。

 知識や経験に不安がある中で児童虐待の対応に当たる職員は緊張やストレスにさらされているとみられるが、71・1%は「職場でカウンセリングなどのメンタルサポートを受けられていない」と回答した。

 自由記述欄には「福祉の専門家である社会福祉士を正規職員として採用することが望ましい」「小さい自治体では、スペシャリストは育ちにくい。県や国の専門職員の増員を」と専門職員の必要性を訴える意見が寄せられた。このほか、「正規職員ではない相談員がいるが、精神的な負担や責任がかなり重い」と処遇への疑問の声もあった。

 長引くコロナ禍が引き起こす不安や経済的困窮により、虐待の深刻化が懸念されている。研究所の南礼子事務局長は「児童虐待の早期発見は喫緊の課題。研修体制の充実や専門家の採用を進めるとともに、担当職員が周囲からサポートを受けられる職場環境をつくることが重要」と訴えた。