自民党徳島県連幹事長の嘉見博之県議による飯泉嘉門知事に衆院徳島1区からの出馬を促す発言は、早速波紋を広げている。嘉見氏は「あくまで個人的な見解」と言うものの、県議会最大会派の会長も務め、影響力は大きい。1区選出で自民党現職の後藤田正純衆院議員は強く反発している。21日には衆院議員の任期満了まで半年となる中、波乱含みの様相を呈し始めた。

 発言の背景には、県連上層部を占める県議の間で、後藤田氏への不満の高まりがある。2019年4月の知事選で、県連は常任総務会で飯泉氏の推薦を決めたが、後藤田氏は飯泉氏の多選批判を展開して別の候補を支援した。

 その後も後藤田氏と飯泉氏との確執は深まる一方で、後藤田氏は知事選で飯泉氏を支援した県議にも「知事とのなれ合いだ」などと矛先を向けていた。このため「批判ばかりで徳島の発展のために前向きに行動しようという姿が見えない」と、県議からの反発は強まるばかりだった。

 こうした状況の中、次期衆院選の時期が確実に近づいており、嘉見氏は踏み込んで発言したとみられる。別の自民党県議も「同じように知事に出馬してほしいと思っている人は多いのでは」と賛同する。

 一方、飯泉氏の国政転身はかねてから県内政界でささやかれてきた。5月に知事5期目の折り返しを迎えるため、政界関係者の間では「任期の半分をこなせば、知事職を投げ出した印象も薄らぐのでないか。タイミング的にはあり得る」との見方がある。

 ただ、次期衆院選に向けて自民党は14年の衆院選時に、後藤田氏を1区予定者とする確認書を結んでいる。飯泉氏が国政転身を決断すれば、保守勢力の支援先が分かれる「保守分裂」となる可能性をはらむ。

 比例単独で2回連続当選した福山守衆院議員(比例四国)も次期衆院選は1区への出馬を模索するなど、県連は難しい対応を迫られそうだ。

 嘉見氏の発言があった3日夜、知事は徳島新聞の取材に対し、出馬の有無について言及しなかった。

 ある自民党支持者は漏らす。「今回の発言をきっかけに、水面下でくすぶっていた事態が動き出すのかもしれない」

 1区には、元職の仁木博文氏も出馬の意向を固めている。