鴨せいろ(1210円) 鴨肉の旨味が溶け出したあったかいつけ汁が蕎麦を引き立てる。

 「納得いく蕎麦を打つんは、ほんまに難しい」と店主の田中智彦さん(66)はしみじみ言う。父親が営んでいた製麺卸業を26歳のときに継いだ。仕事をする傍ら「一番美味しいできたての麺を最高の状態で提供する店をしよう」と構想を練り、1994年に暖簾を掲げた。以来、蕎麦打ちに身を尽くす。「大切なんは、生地をこねるときの水まわし。気温や湿度によって水分量は変わるし、蕎麦粉の状態によっても違う。手に伝わる感覚で微調整します。麺棒の使い方や包丁を持つときの力加減、いろいろ考えながらやっています。こっちの方がいいなと思ったら変えてみるんです」。店を始めて26年が経った今なお、田中さんの探求は続く。

 お目当ての鴨せいろ(1210円)を注文する。北海道上川町産の石臼挽きの蕎麦粉を使った蕎麦は、色白でスレンダーな美人を思わせる出で立ち。ほんのり柚子が香る濃い色のつけ汁は、鰹と昆布で取った白出汁に醤油や砂糖、みりんを合わせたかえしを入れた「辛汁」と、いりこやウルメ、サバ、昆布で作る「甘汁」を足したもの。出汁で炊き上げた鴨肉と白ネギがたっぷり入ったこのつけ汁に、蕎麦をくぐらせズズッとすする。しなやかに喉を打つ香り豊かな蕎麦と、素材の味がまろやかに溶け合ったコク深いつけ汁の饗宴がたまらない。蕎麦を食した後は、旨味が追いかけてくるようなつけ汁を蕎麦湯で割って〆まで楽しんで。

メニュー
・かけそば(750円)
・天ぷらそば(1080円)
・親子丼セット(980円)

住所=徳島県鳴門市撫養町大桑島濘岩浜17-1
088-685-3546
営業時間=月曜〜水曜は11:00〜LO14:30、
金曜〜日曜・祝日は11:00〜LO14:30、17:00〜LO19:30
定休日=木曜休

駐車場:あり
完全個室:あり
多機能トイレ:なし
座敷席:あり
Wi-Fi:なし
開店:1994年