火災のあった雑居ビル=3月14日、徳島市

 徳島市の雑居ビルで音楽ライブの開催中に起きた放火事件で、県警に現住建造物等放火などの疑いで逮捕された牟岐町の無職の男(38)が犯行に使ったガソリンが、15リットル程度とみられることが5日、捜査関係者への取材で分かった。36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件で使われたガソリンよりも多い量だった。徳島市の事件ではビル全体に火が燃え広がらず人的被害はけが人1人にとどまったが、より深刻な被害に発展した恐れがあった。

 捜査関係者によると、男は事件前、県内のセルフ式ガソリンスタンドでガソリン15リットルを購入。車の後部に燃料携行缶を積んで入店し、自分で缶に油を注いだ。購入履歴が残らないようセルフ式のスタンドを選んだ可能性がある。

 火元の雑居ビル3階エレベーターホールで見つかった携行缶には、中身がほとんど残っていなかった。ホールでは広い範囲からガソリン成分が検出された。県警は購入量のほとんどが犯行に使われたとみている。男は県警の調べに、携行缶の使用を認めている。

 京アニ事件では現場に40リットルのガソリンが持ち込まれ、その4分の1程度が使われたとされる。徳島市の事件でも、建物の構造や空気の通り具合など条件が重なれば、被害が大きくなる危険性があった。

 男は事件後、JRや高速バスで関西地方に移動したことも判明。数日間にわたって同地方を転々とし、牟岐町の自宅に戻った。県警は事件のほとぼりが冷めるまで逃亡していたとみて調べている。

 男はこれまでの調べに「ビルに火を付けて放火した」と容疑を認めている。ビルでライブを行っていたアイドルグループの関連グッズが自宅から発見、押収されているが、動機に関する供述は内容が曖昧で、いまだに判然としないという。