1988年4月26日付徳島新聞朝刊の特集面に掲載された記事

 4日死去した脚本家の橋田寿賀子さんの母菊枝さんは、徳島県藍園村(現藍住町)の農家の生まれだった。子どもの頃、母の実家で夏休みを過ごした経験が、「おしん」のシナリオ執筆に役立つなど、徳島と少なからぬ縁がある。

 1985年に出版した著書「こころ模様」によると、橋田さんは小学校5年生の夏休み、当時暮らしていた大阪から藍園村まで生まれて初めての一人旅をしている。大阪から船で小松島港に渡り、荷馬車に2時間ばかり揺られて到着した母の実家では、5人か6人のいとこたちと毎日川遊びに夢中になったという。

 この経験が、初めて自立した気になったようで、一人旅をさせてくれた母に「しみじみ感謝している」と記した。

 88年4月末には、「今、ドラマは女」をテーマに徳島市内で開かれた第3回徳島テレビ祭(実行委主催)にゲスト出演した。NHK朝の連続テレビ小説「ノンちゃんの夢」の脚本家佐藤繁子さん、「3年B組金八先生」のヒットで知られる小山内美江子さんと、「女性がつくるドラマ、女性にとってのドラマとは何か」を論じた。

 4月26日付徳島新聞朝刊のテレビ祭特集では、橋田さんの「初めてのひとり旅」と題した記事が掲載されている。この徳島への旅が「おしん」に与えた影響について触れている。

 「おしんの少女時代、母を訪ねて一人旅をするシーンなどは、夏休みの体験が役に立った」「徳島と私とは、目に見えない赤い糸で結ばれているのだろうか」と語った。