新しい酵母を培養する岡久研究係長=徳島市の県立工業技術センター

 県立工業技術センターが清酒酵母「LED夢酵母」を変異させた新しい酵母の実用化に取り組んでいる。県内清酒の海外輸出支援や消費者拡大を目指す。これまでに2千株以上の中から2種類を選抜しており、県内の酒造会社で醸造試験を進める。

 新酵母は既存のLED夢酵母に紫外線LEDを当て、一部の分解酵素を欠損させた2237株を取り出した。その後、発酵試験や仕込み試験などを通じ、実用化の可能性が高い2株を選んだ。

 一つはLED夢酵母と同じリンゴのような香りやすっきりとした味を保ちつつ、カナダなど一部の国で規制されている成分を100分の1程度に減らした。もう一つはバナナに似た香りが特徴で、料理と一緒に楽しむ純米酒に向いているという。

 2021年度に県内の酒造会社数社で、2株を使った醸造試験を行う。温度管理や水の量などのデータを集め、出来上がった酒の成分を分析し、性質に問題がないか確認する。

 LED夢酵母は既存の清酒酵母に紫外線LEDの光を照射した酵母。発酵力や酸味の異なる3種類があり、いずれも発酵力が強い。地酒の消費拡大を図ろうと、工技センターが15年度に実用化し、県内の酒造会社10社の40銘柄以上に活用されている。

 海外で高まる日本酒人気に対応するため、一部の国で規制されている成分を低減させる酵母の開発を求める声や、消費者拡大のために異なる香りの酵母を開発してほしいという要望が県内酒造会社から上がり、19年度に新しい酵母の開発に着手した。

 担当の岡久修己(なおき)研究係長は「新しい酵母は従来よりも高品質な清酒の醸造が可能になる。県内の清酒生産量の増加につなげたい」と話した。