学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、安倍昭恵首相夫人の関与や官僚の忖度があったのではないか-。

 きのう、開示された財務省近畿財務局と学園側との交渉記録には、そんな疑いを強く抱かせるやりとりが記されていた。

 大阪府豊中市の国有地が、ごみ撤去費用約8億円を差し引いて学園に売却された問題で、理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官は国会で法令に基づき、「廃棄した」と答弁してきた。

 今回、提出された膨大な文書は、佐川氏の答弁を揺るがすものだ。

 財務省は、この答弁と整合性を図るため、決裁文書の改ざんとともに「記録の廃棄も進めた」と説明した。言語道断である。

 組織的に隠蔽したという可能性は強まったと言えよう。国民の信頼を裏切るものであり、到底看過できない。国会で背景や経緯を含めて、しっかりと真相を解明しなければならない。

 安倍晋三首相は衆院厚生労働委員会で「廃棄は誠に不適切。経緯を詳細に調査させる」とした。まるで人ごとのように聞こえる。問われているのは、安倍政権そのものの姿勢だ。

 問題は、誰が廃棄を指示したのか、なぜ廃棄したとしてきたのか、である。財務省にとって、不都合な事実を隠したいという意図があったのではないか。

 今回、提出された記録は、2013~16年分で960ページに及ぶ。この中で見逃せないのは、昭恵首相夫人付の政府職員だった谷査恵子氏が15年11月に、財務省とやりとりした際の詳細である。

 谷氏は、学園の名前を挙げて、土地貸し付け条件を具体的に照会したという。国会で「制度に関する一般的な質問」と答弁した佐川氏の説明と矛盾する内容である。

 学園の籠池泰典前理事長の妻諄子氏が小学校開設について、財務省に「安倍首相、安倍首相夫人、自民党幹部も認識している」と伝えたほか、財務省側が国会議員5人の秘書と対応した記載もあった。

 昭恵氏は、学園が開校を目指した小学校で一時、名誉校長に就いていた経緯がある。忖度があったことを補強する記述ではないか。

 財務省内では、森友側と向き合う担当者にとって昭恵氏の存在が重圧になった、という見方も出ているようだ。

 安倍首相は「私や妻が関わったことはない」と改めて関与を否定したが、この言葉に納得できる人がどれほどいるだろうか。

 財務省は、学園に関する改ざん前の決裁文書全文約3千ページと、「本省相談メモ」とされる資料も提出した。

 文書の具体的な内容を踏まえ、野党は厳しく追及する構えだ。

 首相は昨年2月、自身や昭恵氏の関与があれば「首相も議員も辞める」と答弁した。説明を尽くす責務がある。