FCバサラマインツに加わった岸さん=マインツ市

 徳島市出身でプロサッカー選手を目指す岸龍太郎さん(23)が1月に単身ドイツへ渡り、現地のアマチュアサッカークラブで研さんを積んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で練習もままならないが、仲間と一緒に食事を作ったり、ドイツ語や英語で会話したりするなど、チームに溶け込んできた。7年ぶりにJ1で戦っている徳島ヴォルティスの一員にいつか加わることを夢見て、遠い異国で修業に励む。

 岸さんは9歳の時、徳島ヴォルティス主催のスクールに参加してサッカーのとりこになった。以来、高校3年まで下部組織で主にDFとしてプレー。だが、トップチームへの昇格はかなわなかった。

 京都産業大(京都市)に進学し、卒業後もサッカーが続けられる環境を探した。ドイツ中西部にあるマインツ市を本拠地とする独サッカーリーグ6部のFCバサラマインツが選手選考会を開くと知って参加。「言葉の分からない外国に行くのに迷いはあったが、家族が背中を押してくれた」と振り返る。

 クラブは元日本代表の岡崎慎司選手と、岡崎選手の高校時代の先輩にあたる山下喬さんが共同で設立した。世界で通用する日本人選手の輩出を目標に掲げ、育成に力を注いでいる。

 ただ、昨年11月からロックダウン(都市封鎖)が続くドイツでは、サッカーを取り巻く環境も予想以上に厳しかった。国民的スポーツとはいえアマチュアリーグは現在も試合が行われず、今年3月上旬にチーム練習が3日間だけ再開された以外は、ランニングなどの個人練習を余儀なくされている。

 逆境の中で気持ちを支えているのは「鳴門ポカリスエットスタジアムのピッチに立つ」という夢だ。下部組織で関わったスタッフが今も多く在籍する徳島ヴォルティスへの愛着は深い。J1復帰後初勝利を挙げた3月21日の試合はネット観戦し、選手の奮闘や祝福するサポーターの姿に、チームの一員としてプレーしたいという思いを一層強くした。

 「お世話になった多くの方々にピッチで恩返しするためにも夢を叶えたい。そして、夢に向かって頑張る姿が少しでも徳島の人の励みになればうれしい」と話している。