今夏の徳島市の阿波踊りまで4カ月に迫る中、主催する阿波おどり実行委員会が突然、解散した。運営を委託していた民間3社共同事業体との契約も一方的に解除。実行委員長を務めていた内藤佐和子徳島市長は夏の開催に向けて意気込みを語るが、解散理由や今後の運営方針について詳しい説明をしないままだ。踊り手たちは現状をどう考えているのか。踊り連の連長に聞く。

経緯⇨阿波踊り実行委解散 事業体と契約解除/内藤市長、遠藤市政の"産物"否定

新のんき連(県阿波踊り協会) 池田順子連長(54)「踊り手が安心できる材料を」

新のんき連の池田連長

-実行委員会の解散、民間事業体との契約解除をどう見たか。
 ただただ、びっくりしている。これからどうしていくのかと思う。事前の説明は全くなく、解散当日にマスコミからの取材の電話で知らされた。

-今夏の徳島市の阿波踊りには参加する予定か。
 踊り手が集まらないと参加できないと心配していたが、連員約100人のうち約40人が参加する意向を持っていた。「参加する」と徳島市にも伝えた。ただ、県内でも新型コロナウイルスの感染者が増えている。医療や保育関連の仕事をしている連員も多く、不安を持つ連員もいる。
  1月から3月まで休んでいた練習を4月に再開したが、集まったのは鳴り物奏者を含めて20人ほど。平時なら50人から60人ぐらいが集まる。

-コロナ禍の中だが、中止よりも開催を希望するか。
 踊り手としては小規模でも開催してほしい。阿波踊りをすることに意義がある。お盆に阿波踊りがあるのとないのとでは、連員の士気の上がり方が違う。

-運営がどうなるか分からない。現状をどう考えているか。
 今は本番に向けて準備をしていくだけだ。主催をどうするか、ちゃんと決まって、方向性が決まれば安心する。そのための材料が欲しい。踊れる場所があったら、私たち踊り手はそれに向けて粛々とやるだけ。

-徳島、徳島の人たちにとって阿波踊りとは何だと考えるか。
 徳島にお客さんを呼ぶ目玉だ。観光の一助となっている自負は持っている。コロナの影響で(咋夏は)中止になり、徳島は経済的にも大打撃を被った。だからこそ、今を、阿波踊りを見直す機会としてほしい。

-近年、桟敷に空席が目立つなどしていた。これからの「縮小時代」、あるべき阿波踊りの姿とは。
 「変わらないといけない」というのは分かっていると思う。私を含めていろんな人が。それをどうしたらいいのかが見えてこない。試しながら、新しいかたちを見つけていくようになるのではないか。誰しもが、どうしたらいいのかを模索している。
 お客さんに喜んでもらい、自分たちも踊っていて楽しい。そんな阿波踊りを目指したい。

 

阿呆連(阿波おどり振興協会) 森一功連長(73) 「阿波踊りは興行ではなく、祭り」

阿呆連の森連長

-実行委員会の解散をどう捉えたか。
 解散した実行委員会とは新型コロナウイルスの感染拡大という状況もあってじっくり話す機会もなく、踊り手である私たちとの距離を感じていた。実行委の実態については私はよく知らない。ただ、阿波踊りにあまり詳しくない委員で構成されていたのではないかという思いはある。
  解散について踊り関係者に尋ねると、「以前からそういう(解散する)話はしていた」と言う。個人的には、実行委が市民や関係者の話をしっかり聞き、明確な方向性を打ち出す実行力を持っていれば、解散までする必要はなかったのではないかと思う。

-累積赤字が問題になった結果、遠藤彰良前市政が導入したのが民間委託方式。キョードー東京など民間共同事業体への運営委託をどう考えていたか。
 阿波踊りはそもそも、盆の祭りだ。祭りを他の地域の人に任せるのはどうなのか。例えば地域のお宮の祭りを、よその地域の人に任せますか、ということ。(民間委託は)阿波踊りをただ「興行」としてしか捉えていないから出てくる発想なのではないか。

-今夏の阿波踊りは参加する予定か。
 市長は「開催する」と言っているので、参加する方向で動いていく。ただ全員は参加できず、約130人の連員のうち70人ほどが参加する見込みだ。桟敷が限定される中で、どれくらいの連が参加できるのか、心配もしている。
 昨シーズン休んでいた練習をこの4月から再開した。新型コロナの感染予防を優先する連員もいて、例年よりも参加者は少ない。

-今後、どのような運営を望むか。
 踊り手や市民の代表を入れ、きっちりした実行委をつくってもらいたい。阿波踊りがなくなると、徳島はどうなるのか。阿波踊りをどう徳島に生かしていくのか、関係者が話し合いを続けて方向性を打ち出さないといけない。
 ただ、それがうまくいかなければ、踊り連がお金を出し合って、手弁当で運営する方式でもいいと思う。踊り手は踊りたい、そしてその踊りが街のにぎわいになればいいという思いでいる。「阿波踊りは祭り」という原点を忘れないことが大事だ。