さとの雪食品が発売する常温保存可能な無菌充塡豆腐=北島町の四国化工機

 大豆加工食品販売の「さとの雪食品」(徳島県鳴門市)は、常温で120日間保存可能な無菌充塡(じゅうてん)豆腐を商品化した。国の基準改正により、無菌充塡豆腐の常温販売が解禁されたのを受けて生産体制を整えた。同社によると、常温保存可能な豆腐が量販店の店頭で販売されるのは国内で初めて。5月1日に全国のスーパーなどで発売する。

 商品名は「ずっとおいしい豆腐」。国産の大豆とにがりを100%使い、希望小売価格は300グラム入り171円。グループ会社の四国化工機(北島町)が商品化に合わせ、阿南食品工場(阿南市)で新しい生産棟の増設に着手しており、2021年度の販売は約130万パック、約1・1億円を目指す。

 豆腐の常温流通には、耐熱性がある大豆由来の菌の殺菌が課題だったが、四国化工機が殺菌温度や時間などを研究して独自技術を編み出した。容器は、製紙大手の日本製紙(東京)と共同開発した特殊な紙容器を使用。ポリエチレンやアルミ箔(はく)などを5層に重ねることで、風味を損なう原因となる酸素の透過度を抑え、遮光性を高めた。

 内閣府の食品安全委員会によると、豆腐は食品衛生法に基づく規格基準により、細菌増殖を防ぐために冷蔵保存が義務付けられている。2018年に国が規格基準や食品表示基準を改正し、加熱殺菌した豆乳と凝固剤を殺菌した容器に無菌状態で密封する「無菌充塡豆腐」に限り、常温販売が可能になった。

 さとの雪食品は国内外で無菌充塡豆腐を販売し、20年度は約660万パック、約5億円を売り上げた。既に欧州やアジアなどの55カ国では常温販売しており、賞味期間は長い商品で365日ある。

 新商品は非常食への活用も想定している。同社の無菌充塡豆腐は東日本大震災の直後、特例で被災地に約1万パックが常温で配られた。乾パンなどは炭水化物中心のため、高タンパクで日常食である豆腐は重宝されたという。

 植田滋社長は「ドラッグストアやホームセンターなどでの販売も可能になる。豆腐がより身近な商品となるよう、販売先や販売方法を広げたい」と話している。