空き家の増加が社会問題化する中、全国の市区町村で解体費用の補助制度を設けている自治体は48%(昨年9月時点)にとどまることが徳島大の調査で分かった。徳島県内は佐那河内村を除く23市町が設けている。5年前の熊本地震では多数の空き家が倒壊したとされる。補助制度は多額の費用が必要となる空き家対策の柱だが、財政状況などがネックとなって広がっていない。

 小川宏樹教授(建築計画学)の研究グループが昨年8~9月、全国の全1741市区町村を対象に電話やメールなどで制度の有無や内容を尋ねた。

 制度を設けていたのは844自治体。目的は「倒壊被害防止などの安全確保」「衛生状態の悪化防止」が多かった。人口規模30万人以上の84自治体の79%(66自治体)に制度があったのに対し、1万人未満の506自治体では38%(194自治体)にとどまった。

 補助上限額は41万~50万円が最多で37%(313自治体)。小川教授によると、解体費は一般的に30坪(101平方メートル)で120万~210万円とされ、費用の4分の1程度を限度額としている自治体が多かった。101万円以上助成する自治体は10%だった。

 制度を設けていない自治体は「個人資産の処分に税金を投入すべきでない」「財政状況が厳しい」などを理由に挙げた。移住・定住促進に空き家を活用しているという小規模自治体も多く、県内で制度がなかった佐那河内村は「空き家バンクの登録物件を増やし、移住者らを増やす取り組みに注力している」とする。

 総務省の住宅・土地統計調査によると、国内の空き家は年々増加。1963年に52万戸(空き家率2・5%)だったのが、2018年には848万戸(13・6%)と右肩上がりで推移している。徳島は18年時点で約7万4千戸と推計されており、空き家率は全国4位の19・4%だった。

 一方、熊本地震で被災した熊本県では、13年の調査に比べ、地震発生後の18年は空き家が約3千戸減少した。県は「地震後、公費による解体が進んだ結果ではないか」とする。

 空き家は地震などで倒壊した際に避難の妨げになったり、漏電や放火で火災が起こったりする恐れがある。ごみの不法投棄の温床になるなど周辺地域の住環境の悪化にもつながる。

 小川教授は「高度経済成長期に大量に供給された住宅の解消が進んでいない。行政は補助制度の拡充に加え、耐震化された空き家の利活用や地域による管理の仕組みを構築するなど、新たな工夫が求められる」と指摘する。