聖火リレーに向け、歩行訓練に励む赤澤さん(中)=東京都内

赤澤賢一郎さん

 福島県から始まった東京五輪聖火リレーは15、16の両日、徳島県内で行われ、総勢185人の走者が全24市町村の17区間(計32・3キロ)でトーチを握る。そのうちの1人が、20年前に事故で脊髄を損傷し、車椅子生活を送る赤澤賢一郎さん(51)=徳島市出身、東京都在住。2018年に再生医療の治験に参加し、地道なリハビリを続けてきた。「聖火を手に自分の足で故郷の地を踏みしめたい」と、走行区間の最後は自分の足で歩いてトーチを継ぎ、両親に元気な姿を見せるつもりだ。

 赤澤さんが事故に遭ったのは00年。茨城県の人工スキー場で趣味のスノーボードを楽しんでいる最中だった。ジャンプの着地に失敗し、背中を強打した。

 胴体を守る脊髄パットを着けていたが、救急車の中で腰から下がしびれていて「歩けなくなるな」と感じた。担ぎ込まれた病院で、腰付近の背骨が圧迫骨折しているのが判明。以来、車椅子生活が続く。

 勤めていた出版社が職場をバリアフリー化してくれたおかげで、雑誌編集の仕事に支障はなく、車椅子生活も慣れてくると不自由を感じなくなった。

 18年、リハビリに通っていた施設を通じ、札幌医大から脊髄神経を再生する治験の話が舞い込んだ。「このままでもいい」とも思ったが、再生医療の進歩に貢献できるならと参加を決めた。

 治療を始めると効果てきめんで「2日後に足が動いた」。2カ月後にリハビリを開始。膝の曲げ伸ばしなど下肢でできることが増えるにつれ、気持ちが前向きになった。19年夏に聖火リレーに応募し、秋に出場が決まると、「この機会に歩けるぐらいになりたい」と目標を立てた。

 ただ、20年間のブランクは大きかった。「足の動かし方だけでなく、歩くための脳の使い方を正していかないといけない」。昨年末には、リハビリのやり過ぎで左足のすねを疲労骨折し、2カ月半、歩行訓練から遠ざかった。それにもめげず週2回、都内にある脊髄損傷者向けのトレーニングジムに通い、急ピッチで準備を進めている。

 本番は16日、日本コカ・コーラが参加を募った「チームコカ・コーラ」の一員として徳島市内の200メートル区間を車椅子で走り、最後の10メートルは歩行器を使って歩く。赤澤さんは「けがで悲しませた両親に親孝行がしたい。再生医療を受けている人たちにも勇気を与えたい」と意気込んでいる。