写真を拡大 コーヒーをハンドドリップで入れる店主の井上さん=徳島市内

 店舗の空きスペースや空き時間などを活用して営業する「間借りカフェ」をご存じだろうか。オープンまでの初期費用を抑えられたり、出店エリアをいつでも変更できたりといったメリットがあり、店舗を構えた本格開店前に経営ノウハウを学べる場として、徳島県内でも出店を試みる人が現れ始めた。移動コーヒー店「一杯の珈琲(コーヒー)」を開く井上嵩規さん(25)=徳島市丈六町丈領=から話を聞いた。

セレクトショップの一角に開店させた「一杯の珈琲」=徳島市内

 井上さんが「一杯の珈琲」をオープンさせたのは2020年2月。リゾートホテルやレストランなどが並ぶ鳴門市鳴門町の海岸沿いの道路に、キャンプ用テントを張って開店した。井上さんは「開店して間もなくのお客さんは1日に1~2組ほど。最初はほとんど来店者がいなかった」と苦笑いする。

 開店場所を確保するのにも苦労していたが、次第にコーヒーが評判になり、間借り店舗への誘客やPRにつながり始めた。徐々に出店を求める店が出始め、現在は洋服店やパン屋、トレーニングジム、道の駅など県内各地の店舗や屋外スペースで毎日のように開店させている。

スッキリとした後味のブレンドコーヒー。折りたたんで飲み口を作る紙製のバタフライカップにはスタンプで店名が印字されている=徳島市内

 提供するのはブレンドコーヒー(税込み470円)のみ。鳥取県の自家焙煎(ばいせん)コーヒー店から豆を直接仕入れ、ひきたてを提供する。コーヒーメーカーを使わず、ハンドドリップにこだわる井上さんは「お客さんに向き合いながら入れることで、思いがより伝えられる」。コク深いが後味はスッキリしており、ブラックコーヒーが苦手な人でも飲めると好評だ。

 井上さんは徳島市内の高校を卒業後、鳥取県の大学に進学。大学1年の頃に入った鳥取市内のコーヒー店でひきたてコーヒーのおいしさを知り、店に通いながら独学でコーヒーを入れる技術を磨いた。大学を卒業し、いったんは会社員として働いたものの、おいしいコーヒーを多くの人に飲んでもらいたいという思いが強くなり、退職して間借りカフェを開くことにした。

 井上さんは「拠点の店を構えることが目標。コーヒーだけでなく、ケーキなどの食事も出して居心地の良い空間を提供したい」と話した。

 営業場所や日時は同店の公式ツイッターインスタグラムで確認できる。