西村京太郎「十津川警部 四国土讃線を旅する女と男」

西村京太郎「十津川警部 四国土讃線を旅する女と男」

 十津川警部シリーズ最新刊の事件の舞台は徳島県。鳴門、大歩危、祖谷渓と、県民にはなじみの地名をたどりながら四国4県で物語が展開する。地元紙の記者や徳島県警も登場しており、臨場感豊かな推理小説だ。

 緒方精密電機の課長補佐の神崎は、社長の緒方から、ホノルルの国際会議に参加する間、美人社長秘書・高見沢の四国旅行の世話係を命じられた。高見沢は社長との結婚もうわさされており、神崎は社長の意向に沿ったスケジュールを組んで、出発した。

 二人は大歩危駅から祖谷渓へ行き、かずら橋を訪れた。その後、神崎はニュースで、かずら橋から女性が転落死したのを知り、服装が高見沢と同じだったことから、間違って殺されたのではないかと疑う。

 さらに、JR四国の土讃線・大歩危–多度津駅間を走る観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の車内で二人は爆発事件に遭遇する。乗客の男性が死亡し、高見沢は軽傷を負った。

 車内で高見沢が持っていたのは緒方精密電機が開発した高性能の小型の人型ロボットで、人を攻撃、防御する能力があり、日米の軍事・防衛関係者が関心を持っていた。

 一連の事件を引き起こした犯人は誰なのか。ロボット開発と会社の成り立ち、人間の欲望と愛憎が複雑に絡んだ事件の謎を、十津川警部が暴きだす。

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 小学館刊。1045円。