ディズニーランドのミッキーマウスに比べればよほど小さいものの、ネズミは苦手という人なら卒倒してしまうかもしれない。アフリカオニネズミは体長30~40センチにもなる
並外れた嗅覚を持つ。タンザニアの非政府組織「アポポ」は、これを結核の診断に活用している。当地では医療機器の不備から誤診が頻発し、十分な治療を受けられない人が多いという。特有のにおいをかぎ分けて、ネズミが突き止めた患者の数は、10年ほどで1万3千人に上る
地雷探索も重要な任務だ。テニスコート1面分の広さを、人の手で調べるとおよそ4日かかる。ネズミなら半時間で済む。火薬のにおいを追い掛けて地雷原を走り回っても、ネズミの体重では爆発しないから、安全でもあるらしい
組織設立から20年。これまでにモザンビークやアンゴラ、カンボジアなどで10万個の地雷・不発弾を見つけ、農民ら約95万人に恩恵をもたらした
アポポのサイトにはこんな数字もあった。2016年、地雷による事故が世界で8605件起き、42%のケースで子どもが巻き添えになった。不幸なことに、まだまだその鼻が必要だ
被災地での不明者の捜索や密輸の摘発など、オニネズミの鋭敏な嗅覚は、いくらでも応用が利く。願わくば「真実」もかぎ分けてもらえないか。活躍の場は最近、とみに増えている。