防衛省が、陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報隠蔽問題に関して、組織的な隠蔽を否定する調査結果を公表し、国会に提出した。

 当時の稲田朋美防衛相による再捜索の指示が、陸自研究本部(現教育訓練研究本部)教訓課に伝わらず、担当者同士の意思疎通が十分でなかったため、日報の存在が報告されなかったとしている。

 稲田氏の指示はメールで伝えられるなど命令として徹底されず、結果の確認すらしていなかった。防衛相の指示が軽視されたと言われても仕方があるまい。

 自衛隊でシビリアンコントロール(文民統制)が十分に機能しないのは、由々しき事態である。

 国会で徹底的に調査結果を分析し、問題点を洗い出す必要がある。

 4月に公表された日報は、陸自部隊が派遣された南部サマワの治安情勢を「戦闘が拡大」と分析するなど複数の「戦闘」の記述があった。

 そんな現地の緊迫した状況を示す日報が、国民の目に触れないところに隠されていたのでは、防衛省、自衛隊を信頼できなくなる。

 これでは、現地で危険を顧みずに任務を遂行した隊員たちが気の毒である。防衛省は反省すべきだ。

 日報を巡っては、防衛省が昨年2月、野党議員の資料要求に不存在と回答し、稲田氏も国会で「見つけることはできなかった」と答弁した。

 調査結果は、稲田氏が答弁の2日後、統合幕僚監部の辰己昌良総括官に「本当にないのか」と発言したのを再捜索の指示と認定。辰己氏や統幕職員が捜索指示を適切に伝えないなど、防衛相の指示を十分に履行できなかったことが一連の問題の原因だとした。

 稲田氏の発言は指示と言えるのかという批判もある。ところが、防衛省は稲田氏から聞き取りをせず、「現場の認識不足」で幕引きを図る構えのようだ。この点も国会でただされなければならない。

 日報は昨年3月に教訓課で見つかっていたが、陸上幕僚監部への報告は今年1月、小野寺五典防衛相への報告は3月になってからだった。

 防衛省は教訓課の情報公開担当者ら17人を処分したが、組織の体質改善と意識改革を急いでほしい。

 小野寺防衛相は「防衛省、自衛隊が組織として防衛相の指示に適切に応えられず、シビリアンコントロールにも関わりかねない重大な問題をはらんでいた」として、再発防止策を推進する構えだ。

 だが、信頼を回復するのは容易ではあるまい。

 このところ、加計学園の獣医学部新設や、森友学園への国有地売却を巡って、安倍政権にとって都合の悪い記録が次々に見つかり、国民は不信感を募らせている。

 安倍晋三首相は日報問題でも、説明責任を果たさなければならない。政権を挙げて情報公開や文書管理を徹底することが求められる。