徳島地裁の破産手続き開始決定を不服として、徳島市観光協会(破産手続き中)が申し立てていた即時抗告が高松高裁に棄却されたことが24日、分かった。協会側は約3億3千万円の融資で債務を弁済できると主張したが、高裁は「(融資は)単なる貸付金で、破産手続きの必要性が否定されるものではない」と退けた。
協会は、4億円余りに上る累積赤字が表面化した徳島市の阿波踊りの昨年までの主催者の一つ。協会の借入金を損失補償する市が地裁に破産手続き開始を申し立てていた。即時抗告が棄却されたことで、今夏の阿波踊りは市が新たに組織した主催団体「阿波おどり実行委員会」の下で例年通り開催される見通しになった。
高裁の決定では、協会が集めた融資は贈与ではなく、貸付金であることを指摘。「(融資が)弁済に充てられたとしても、債権者を異にするだけで破産債権が存続することに変わりはなく、破産手続き開始の原因が解消されたとはいえない」などと結論付けた。棄却決定は23日付。
協会は即時抗告に当たり、県内外の個人や団体から約3億3千万円を集めており、既に保有する現預金約1億5千万円と合わせると約4億円の債務は全額弁済でき、当面の運転資金も確保できると主張していた。
協会を巡っては、市が3月1日、債権者として破産手続き開始を地裁に申し立て、地裁は29日に破産手続き開始を決定。協会は決定の取り消しを求め、4月16日に高松高裁に即時抗告していた。
これまで市、協会の双方が今夏の阿波踊りの主催を主張してきたが、協会が最高裁への抗告を見送れば、協会の解散が確定する。破産法によると、協会は管財人による破産手続き中は組織として存続するが、債権者への配当が終了すれば解散する。
報道陣の取材に応じた遠藤彰良市長は「確信はしていたが、(代理人から)正式に連絡を受け、ほっとしている。関係団体の皆さまの協力をいただきながら、市が責任を持って阿波踊りの準備をしっかり進めたい」と話した。
徳島市観光協、特別抗告は慎重に対応
高松高裁での棄却決定を受け、徳島市観光協会は「決定を真摯(しんし)に受け止める。最高裁への特別抗告については、混乱を招かないよう慎重な対応を取る」とのコメントを出した。抗告の期限は29日まで。花野賀胤(よしたね)事務局長は、近藤宏章会長らと話し合って対応を決めると説明。抗告には理事会の承認が必要だが、現時点で開催の予定はないという。