徳島県内で新型コロナウイルスの感染が急拡大している。

 新規感染者は3月20日から増え始め、きのうまでの約1カ月間に437人が確認された。これまでの全感染者の半数近くを占めるほどの急増ぶりである。

 病床使用率が60%を超えるなど、医療が深刻な状況に陥りつつある。県と医療機関が協力し、危機を乗り越えなければならない。

 短期間にこれほどの窮地に追い込まれた要因の一つが、感染力が強い英国型変異株の拡大だ。昨年末に日本上陸が確認され、専門家から流行を懸念する声が上がっていた。その警告を生かし切れなかった。

 16日の検査で1日当たりの感染者数は最多の44人となった。クラスター(感染者集団)以外の感染が38人に上っており、市中感染を疑う必要がある。

 気掛かりなのは、県の危機意識の薄さである。

 飯泉嘉門知事は、県民に警戒を促す「とくしまアラート」を8日に発動する際、「一定の囲い込みはできている。アラートは予防的な意味合いだ」と述べた。それから1週間もたたないうちに、アラートを2段階引き上げ、飲食店への営業時間短縮要請を決めた。見通しが甘かったと言われても仕方あるまい。

 疑問符が付く対応はこれにとどまらない。変異株の県内初確認の発表は、国から連絡があって10日もたっていた。

 変異株による感染が全国で増えだした頃だった。県民の健康を思えば、いち早く注意喚起しなければならなかったはずだ。「県内での最初の事例だったため、慎重を期す必要があった」という知事の釈明は理解に苦しむ。

 2月には県議会の野党2会派が、医療機関や高齢者施設の職員、新規入院患者らにPCR検査か抗原検査を定期的に行うよう申し入れたが、県は取り合わなかった。それがもし徹底されていたら、県立中央病院(徳島市)と南海病院(鳴門市)関連のクラスターは防げたかもしれない。

 感染症対策を所管する県の職員6人が送別会の会食で感染し、クラスターが発生する事案もあった。

 3月に入るまで県内の感染者は、他県に比べて少なかった。それは県民の努力によるところも大きかったのだろう。ここにきて県の対応にほころびが目立ってきた。感染症対策は先手を打つのが肝心なのに、後手に回っている。

 「まん延防止等重点措置」の要請を検討せざるを得ない状況だ。こうした事態を招いた知事の責任は重い。これまでの対応を省み、早く収束への道筋をつけなければならない。