新型コロナウイルスの感染が急拡大し、徳島県内で感染者を受け入れる医療機関に大きな負担がかかっている。逼迫(ひっぱく)度合いを示す病床使用率は19日まで10日連続で50%を超えており、政府の感染症対策分科会が示す「ステージ4(爆発的感染拡大)」に該当する厳しい状況が続く。感染力の強い変異株の影響もあってか治療も長期化しており、現場からは「医療崩壊の危険水域に入ってきた」との声も上がる。

 「感染の様相が変わってきた。これまでにない負担がのしかかっている」。新型コロナ受け入れ医療機関で感染者に対応する看護師は、危機感をにじませる。「変異株の影響からか、患者の症状が重く、治療期間も長くなってきている」と指摘する。

 看護師によると、変異株流行前の昨年末までは、入院後1~2週間で回復して退院する人が多かった。最近は発熱が治まらず、血液中の酸素濃度もなかなか改善しない。日中元気だった患者が夜になって急変する事例も目立ち、「注意深く病状をみる必要があり、常に気が張っている」。

 高齢の患者が多くなり、防護服を着て排せつや食事の介護に当たる時間も増えた。激務で体調を崩す職員も相次ぎ、発熱などがあれば病院側は休ませざるを得ず、人手不足に拍車がかかる悪循環に陥っている。

 「本格的な感染拡大の波が徳島にもやってきた」。ある病院の中堅看護師はそう痛感する。コロナ患者を直接ケアしない看護師にもしわ寄せが及び、夜勤の回数や休日の急な出勤が増えたという。「終わりが見えずつらい。この状態が続けば辞める人も出かねない」とため息をついた。

 別の病院でも、増え続ける感染者の対応にベテラン看護師が従事し、一般病棟の勤務のやり繰りが難しくなっている。経験の浅い若手ばかりで勤務せざるを得ない日もあるほか、労働時間も長くなっている。看護師は「人手不足は深刻。残業時間も従来より2時間ほど増えた」と嘆く。

 県内のコロナ専用病床の使用率は3月29日に30%、4月2日に40%、10日に50%を超え、急速に悪化している。飯泉嘉門知事は17日の臨時会見で、一般病床を10床増やすとともに、クラスター(感染者集団)が発生している南海病院(鳴門市)内に病床を確保したと説明。「大胆かつ積極的に対策を講じ、医療提供体制を構築し命と生活を守る」と強調したものの、19日時点も66・4%と依然高い水準にある。

 冒頭の看護師は「重症者が治療を受けられなかったり、救急患者がたらい回しにされたりするような事態はすぐそこに迫っている。県は、県民が危機感を持てるようメッセージを発してほしい」と語った。