「ジャンプのない土曜は寂しい」「さらば土曜ジャンプ」「徳島の良いところがなくなる」-。徳島県内では土曜に発売されていた人気漫画誌「週刊少年ジャンプ」(以下、ジャンプ)が、4月から全国と同じ月曜の発売に変更された。会員制交流サイト(SNS)上では愛読者から悲しみのコメントが相次いでいる。

書店の店頭に平積みされている週刊少年ジャンプ=徳島市沖浜3の平惣徳島店

 県内ではジャンプの発売日といえば、長らく「土曜」というのが常識だった。東京、大阪などの都市圏を含む多くの都道府県が「月曜」であるのに対し、徳島県民だけが2日早い「先読み」の特権を長年享受してきた。飯泉嘉門知事も定例会見で「(ジャンプが)日本で一番早く出る県」などと言及したこともある。そうした特権も発売日の変更によって消滅してしまった。

 月曜発売に変わった理由について、県内で書店7店舗を展開する「平惣」(阿南市)の八百原勝徳島店店長は「土曜に届いていたのが、月曜にならないと届かなくなった。運送業界の事情が少なからず影響しているのでは」と語る。

 出版物の流通を取り仕切る出版物専門商社「トーハン」(東京)四国支社の担当者によると、ジャンプは東京や大阪を中心に月曜に配送されている。一方、遠隔地の徳島や新潟など一部の地域は発売日を合わせるため、土曜に前倒しで配送するのが通例だったという。しかし、運送業界は現在、慢性的な人手不足で、八百原店長は昨今の働き方改革も踏まえて「土曜配送をなくし、休日を土日に統一したからではないか」とみる。

 そもそも、なぜ徳島だけが配送された土曜に即発売するようになったのか。経緯は定かではない。

 八百原店長は長年の書店勤務で伝え聞いた話として「書店の店主と顧客が個人でやり取りするうちに慣例化したのではないか」と語る。ルールの順守に関して比較的おおらかで、インターネットも発達していなかった古き良き時代の地方ならではの慣習だったのかもしれない。

 ジャンプを発行する集英社(東京)は「徳島で土曜に発売しているのは知っていたが、各書店などとの取り次ぎには関わっていないので何とも言えない」としている。

 土曜発売の慣習は少なくとも50年近く前からあり、当時の関係者が一線を退いた今となっては、そうした疑問の答えは全てがやぶの中で、臆測の域を出ない。ただ確かなのは、今年は徳島県民にとって「ジャンプの土曜発売」という長年の伝統に別れを告げる春になったようだ。