消費者庁の消費者行政新未来創造オフィスが徳島県庁に開設され、24日、3カ月を迎えた。県内の高校で消費者教育の授業が始まるなど各プロジェクトが軌道に乗り始めている。
消費者庁が若者向けの消費者教育の教材として作った冊子「社会への扉」を使った授業は、2学期から県内の高校でスタート。10月3日には城北高校で公開授業があり、家庭科と公民の授業で生徒が契約やクーリングオフ制度について学んだ。
視察した同庁の小野稔審議官は「契約や消費者市民社会について生徒同士が議論し、非常にいい授業だった。徳島の取り組みを全国展開につなげたい」と語った。年度内には全高校で授業し、教員や生徒にアンケートを行い、教材の見直しなどにつなげる。
14日には県や経済団体など9団体が「とくしま消費者志向経営推進組織」を全国の都道府県に先駆けて立ち上げた。消費者の視点を重視する経営理念を県内企業に普及させるのが目的で、年度内に10社程度に消費者志向宣言をしてもらう。
9月には若者の消費者被害の要因を心理面から分析する新たな基礎研究プロジェクトが始動。首都圏や関西から学識経験者らが集い、来年6月までに対応策をまとめる。
このほか、2016年度末時点で3市の設置にとどまっていた一般労働者向けの公益通報窓口が全24市町村に設けられ、高齢者見守りネットワークの構築も進めている。オフィスを率いる日下部英紀参事官は「大きなトラブルはなく、各事業とも順調だ」と説明する。
ガラガラと回すと玉が出る抽選器で毎朝、座席を決めるフリーアドレス制度など、新オフィスが取り組む働き方改革についても「職員に浸透してきており、紙資料の削減などにつながっている」としている。