徳島県内で発生が相次ぎ、21日で計21例となった新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)。県による施設名の公表は分かれている。判断基準となっているのは感染を広げる恐れがあるかどうか。状況によっては発表当初と対応が変わるケースも出ている。

 県は、不特定または多数の人が出入りする施設での5人以上の集団感染をクラスターと定義している。県内では昨年8月5日に阿南市の高齢者施設で初めて発生し、今年3月下旬以降は10例に上る。県が施設名を公表したのは、カラオケ喫茶や医療機関、高校など14例。飲食店や会社など7例は明らかにしなかった。

 昨年10月施行した感染拡大防止条例では、感染者と接触した全ての人とすぐに連絡が取れず、感染を広げる恐れがある場合に、県の判断で施設名を公表する。条例施行以前も同じ考え方だったという。

 4月7日に認定されたカラオケ喫茶の事例では、飯泉嘉門知事は当初、「名簿があり顧客と連絡を取っている」として店名や所在地を明かさなかった。だが翌日に「連絡の取れない人がいる」と公表に切り替えた。

 自ら公表するケースもある。徳島大は昨年10月に続き、3月29日に学生のクラスターが発生。県に対し「大学側は事実を発表するので公表してほしい」と申し出て県も歩調を合わせた。大学の担当者は「社会的責任を果たすため。誤った情報が広がり、学生らを動揺させてはいけないと思った」と説明する。

 県保健福祉部の伊藤大輔部長は「施設名を公表するのは、連絡が取れない人に気付いてもらうため。感染の広がりを抑えるのが重要で、公表自体が目的ではない」と話している。