ふれあい健康館に入居する子ども未来部の主要課。内藤市長は4月の人事異動で、大幅な機構改革を行った=徳島市沖浜東2

 「仕事は忙しくないで?」「何か困っていることある?」。徳島市役所本庁舎のある部署に内藤佐和子市長が1人で現れ、職員に声を掛けた。職員は緊張しつつも笑顔で「変わりないです」と返した。

 昨年4月20日、本格的に公務をスタートさせた市長は、職員に向けた庁内放送でこう「宣言」した。「私は市長室にずっと座っているつもりはありません」。以来、公務の合間にたびたび市長室を出て庁内を歩き、職員と話す。1階ロビーに足を延ばして来庁者にも声を掛ける。

 歴代の市長は、各部局に足を運ぶことがほとんどなかったという。内藤市長に何度か声を掛けられたという女性職員は「気さくに仕事の悩みを聞いてもらったり、たわいない話をしたりしている」と好意的に捉える。

 とはいえ、就任当初は職員との意思疎通が十分でなかった。私立認定こども園・保育園補助事業の見直しを担当部局に指示した際には、担当の職員に趣旨が正確に伝わっていなかった。

 ある幹部職員は「話しやすい雰囲気をつくり職員との距離を縮めようとしているのだろう」。事業や施策を進める際も、まず職員の提案や意見を聞いた上で自身の考えを示し、議論して修正していくことが多い。

 一方、人事では強引さも見られる。

 実質的な定期異動となる昨年5月1日付の人事異動の後、7月1日付と11月1日付でも一定規模の異動を行った。特別職や職員の兼任ポストの変更も含めると回数はさらに増え、半年余りで肩書が3回以上変わった職員もいる。

 特に11月の異動は職員間に波紋を広げた。当時の総務部長兼理事の部長職を解き、理事専任とした。実質的な降格人事だ。

 この部長は遠藤彰良前市長に登用され、庁内で「遠藤派」と見られていた。人事課は「国のデジタル庁創設を視野に入れ、市役所の事務全般のデジタル化を担う理事を据える必要があった」とするものの、職員だけでなく市長派の市議からも「遠藤カラーを排除したかったのだろうが、年度途中にやり過ぎだ」との声が上がった。

 今年4月1日付の組織改編では「政策立案機能の強化と効率的な行政運営」をうたい、保健福祉部を「子ども未来部」「健康福祉部」に、市民環境部を「市民文化部」「環境部」に再編するなど大幅な機構改革を行った。異動総数は前年より93人多い867人と大規模になった。3月中旬に始まった部局の配置換え作業が4月にずれ込むほどだった。

 市役所職員労働組合連合会の役員は「寄り合い所帯だった保健福祉、市民環境両部の再編議論は以前からあり、そこに手をつけたのは理解できる」と話す。ただ、度重なる異動や大掛かりな再編については苦言を呈する。「市長には明確なビジョンがあるのだろうが戸惑う職員も多い。職員の意欲を保つためにも丁寧な説明がほしい」。