徳島県が県内企業の新卒者確保のため大阪市内で開いた就職フェア=2月11日

 学生優位の売り手市場とされる就職活動がヤマ場を迎える中、徳島県出身の学生が多い関西で、県内企業の新卒者の採用確保が難しくなっている。学生の大手志向が高まり、Uターン就職の希望者が減っているためだ。企業は採用活動を県外出身者や関西以外の地域に広げるなど、あの手この手で学生の確保に取り組んでいる。

 徳島市出身で関西大4年の男子学生(21)は、「住み慣れた徳島で暮らしたい」と県内企業を念頭に就職活動を始め、1月に徳島市内で開かれた合同企業説明会に参加した。だが、「働きたいと思う企業はなかった」

 周囲にUターン志望者は少ない。「興味のある企業を見つけて東京まで就活に行っている人が多い」と明かす。

 就職情報大手のマイナビ(東京)が学生に実施したアンケートによると、Uターン・地元就職希望者は2012年卒の43・6%から17年卒は38・7%となった。広報部は「12年ごろから売り手市場の傾向が強まり、大手や憧れの職種に就職できる可能性が高くなって、そうした企業のある大都市圏に目が向いている」と指摘する。

 県教委によると、19年卒業予定の県出身4年制大学生は約3千人で、このうち関西2府4県が約800人を占める。Uターン人材獲得のため、これまで関西を中心に採用活動をしてきた県内の主要企業は、戦略の練り直しを迫られている。

 内装ドア製造大手のニホンフラッシュ(小松島市)の幹部は「今は県外出身者の採用に力を入れている」と言う。3月と4月に会社単独の説明会を大阪市中心部の梅田に会場を借りて開いた。昨年まで同市の大阪支店で開いていたが、交通の便の良い場所で行い、多くの学生に足を運んでもらおうと考えた。

 富田製薬(鳴門市)は、「時間的、費用的に本社まで来てもらいづらい」と、インターンシップを1月と2月に大阪市の大阪支店でも実施。本社とインターネットでつなぐウェブ会議形式で行い、県外出身者4人が参加した。担当者は「3月の企業説明会にインターンシップ参加者が来てくれた」と効果を話す。

 阿波製紙(徳島市)は、関西に限らず、東京などでの合同企業説明会に積極的に参加している。担当者は「学生と接触する機会をできるだけ増やすことにしている。地方の企業であっても、仕事の内容や製品に関心を持ってくれる学生もいる」と力を込める。

 一方、県内での採用活動に軸足を移す動きもみられる。四国化工機(北島町)は今年から、本社や徳島大、阿南高専など、県内での個別の会社説明会を従来より多く実施している。担当者は「最近は関西の学生も大手志向が強い傾向があり、大企業とバッティングして、なかなかうまくいかなくなってきたためだ」と言う。

 人口減少に悩む地方にとって、地元企業の新卒者確保は大きな課題だ。合同企業説明会の開催や就職支援サイトの開設など、地域間での競争が激しくなっており、県や県内市町村の積極的な取り組みが求められる。

 県は2月、大阪市でU・I・Jターンに関心のある新卒者と県内企業と引き合わせるための就職フェアを開いたが、参加企業19社に対して訪れた学生は40人だった。県労働雇用戦略課は「セミナーを開いても学生に来てもらうのは難しい状況だ。地道に県内企業の情報を発信していきたい」としている。