化ける能力に優れているのは、果たしてどちらか。タヌキとキツネが競い合った
まずはタヌキが人間の花嫁に化す。ところが、まんじゅうになったキツネを見破れず、食い意地が勝って化けの皮がはがれてしまう。負けじとタヌキは、キツネを手紙で誘い出した。導かれた先でキツネが目にしたのは・・・
児童文学作家・松谷みよ子さんの「ばけくらべ」を要約した。ネタバレをすると、タヌキが巧妙な策で一矢を報い、両者痛み分けで幕となる。さて、こちらはさしずめ国と国との化け比べの結末と言えようか
6月12日に予定されていた米朝首脳会談が中止になった。米国に言わせれば、北朝鮮の「敵対的な言動」が理由。もとより激しい言葉で非難し合っていた両国である。首脳会談に合意してからの軟化ぶりこそが、はた目に不思議だった
ここ数日でにわかに雲行きが怪しくなっていたから、中止と聞いてもそう驚きはない。それでも、である。米朝のトップが顔を合わせる歴史的な局面であり、日本にとっては拉致問題も絡む重要な機会だっただけに、残念だ。ただ望みはある
かつてなら非難合戦が再燃しただろうが、両国とも仕切り直しの会談実現を示唆している。キツネは七化け、タヌキは八(や)化け。ことわざではタヌキが一枚上手なのだが、この際どちらがタヌキかは関係ない。