箏奏者として県内外で演奏活動に取り組み、全国コンクールでの優勝経験もある遠藤咲季子(さきこ)さん(23)=徳島県石井町=が、女性4人組和楽器ヘヴィメタルバンド「KAGRAMUSOU(神楽無双)」の一員として活動している。普段は邦楽を聴かない若者らに興味を持ってもらうことが目的で「新たなファンを獲得するきっかけにしたい」と意気込んでいる。

KAGURAMUSOU(神楽無双)のメンバー、左から滝野瀬あゆかさん、暁月ななみさん、遠藤咲季子さん、近藤千晶さん(スターエイジ提供)

 神楽無双は、音楽会社「スターエイジ」(東京都)の代表でプロデューサーのKAZUAKIさんが、日本の伝統楽器とメタルを融合させた新たなエンターテインメントを生み出そうと考え、邦楽界で活躍する若手実力派演奏家らを集めて昨年10月に結成した。

 遠藤さん以外のメンバーは、尺八担当の滝野瀬あゆかさん=群馬県出身、津軽三味線担当の近藤千晶さん=東京都出身、ボーカル担当の暁月(あかつき)ななみさん=沖縄県出身。サポートメンバーが演奏する重厚なメタルサウンドにのせて和楽器の音色と歌声を響かせる。
 KAZUAKIさんが作詞・作曲を手掛け、これまでに「カタルシス」「アルティメット・サーカス」など3曲を制作した。今年2月13日には銕仙(てっせん)会本舞台(東京都)で初ライブも行って活動を本格化させている。

箏の繊細な音色を重低音の中で響かせる遠藤咲季子さん(スターエイジ提供)

 遠藤さんはバンドではメタルの重低音に箏の音色が負けないように、音量を電気的に増幅できるエレキ箏の演奏に初挑戦している。弾く時の力加減や微妙な音色が箏とは違うため戸惑いもあるが「邦楽とは異なる演奏法やリズムの取り方を吸収できて刺激を受けている」と目を輝かせる。

 遠藤さんは箏曲教室を主宰する母綾子さん(54)の影響で6歳の時に箏を本格的に習い始めると、綾子さんも驚く速さで上達。石井中学校3年の時に全国小・中学生箏曲コンクールでグランプリを受賞するなど数々の大会で輝かしい成績を収め、徳島北高校を経て東京芸術大に進んだ。

本業の箏奏者としても徳島県内外のコンテストなどで活躍している遠藤咲季子さん

 卒業後の昨年3月にもK邦楽コンクール現代部門大学・一般の部で最高賞を受賞するなど箏奏者として着実にキャリアを重ねる中で、9月に大学時代の先輩を通じてKAZUAKIさんからバンドに誘われ「新しいことに挑戦してみたい」と考えて加入を決めた。

 邦楽界の未来を担うホープの一人として演奏会を重ね、高校生の指導など普及活動にも熱心な遠藤さんは「新たなジャンルの曲を弾くことで表現の幅が広がる。箏奏者とバンド、二つの活動を通じて多くの人に日本伝統の箏の魅力を知ってもらえれば」と抱負を述べた。