徳島県小児科医会 日浦恭一(徳島新聞朝刊 満1歳にて掲載)

 体内のカルシウムは歯と骨に99%が存在します。血清中のカルシウム濃度は厳密に保たれていますから、食物からカルシウムを吸収する時に働くビタミンDが不足すると、骨からカルシウムが溶け出して血清中のカルシウム値を一定に保つように働きます。成長途中の小児でビタミンD不足が起こると、くる病となり成長障害や骨の変形が起こります。

 小児期は骨成長の著しい時期であり、ビタミンDの必要量も多くなります。ビタミンDは食物から摂取される以外に紫外線を浴びることによって皮膚で合成されます。これらのビタミンDは肝臓で強い生物活性をもった活性型ビタミンDに変化して体内で働きます。

 紫外線は皮膚でのビタミンDの合成に必要ですが、紫外線には将来の皮膚がんを発生するリスクがありますから無制限に紫外線を浴びることは勧められていません。小児期、特に学童期には紫外線を浴びる量が最大となります。人種差や地域差、日照時間、年齢や食事内容などによっても紫外線の必要量は異なります。

 昔、食料事情の悪かった時代にはくる病は日常的に見られた病気です。最近では栄養不足から発生する、くる病はほとんど見かけませんが、食物アレルギーに対する極端な不安から、専門家による指導を受けずに行う食事制限や、紫外線に対する極端な拒否から紫外線をほとんど遮蔽する外用処置をしている場合などに発生する危険性が高くなります。

 長期に亘るビタミンDの不足は骨の変形や成長障害を発生することがあります。過不足のない食事や外での遊びが大切です。