徳島市が設けた市公式ホームページ(HP)の「報道に対する市の見解・対応」は、市の方針に批判的な記事を取り上げ「事実と異なる」「不適切」などと主張している。自治体がHPで個別の報道を取り上げて反論する常設コーナーをつくるのは異例。識者からは「メディアが行政を監視・批判するのは当然。民主主義の原理が理解されていない」との指摘が出ている。

 HPでは、市政に関する報道の中に「市民の誤解を招く恐れ」があるとし「必要に応じ、報道内容等に対する市の見解を掲載」するとしている。

 HPが30日時点で取り上げているのは、内藤佐和子市長が26日付の徳島新聞社宛ての抗議文で訂正や撤回を求めたのと同じ同社の社説や記事5本。いずれも阿波おどり実行委員会の解散や民間3社共同事業体との委託契約解除を巡る市側の姿勢を批判した内容となっている。

 それぞれの社説や記事のうち、市長の主張と異なる部分を「事実と異なる点・不適切な点」として挙げ、これに対する実行委の見解を「正確な内容・適切な内容」として記載している。

 コーナー開設の意図について、飯田博司企画政策部長は「広報活動の一環として市の見解・対応を掲載する」とコメントした。

 徳島大の饗場和彦教授(政治学)は「安倍政権以降、中央政府にせよ地方政府にせよ、公権力の側がメディアを敵視する傾向がある。メディアが行政を監視・批判するのは当然という民主主義の原理が理解されていないからだ。徳島市がここまで目をむいて反発する姿勢自体が、民主主義を前提にした地方政府の在り方として不適切だ。反論の中身も全体に雑な印象で、独善的な言い分だ」との見解を示した。

 徳島文理大の松村豊大教授(総合政策学)は「見解や解釈の相違が生じるのはあり得ること。市は市民に説明責任を果たし、新聞社は事実に基づいた記事を書くことに尽きる」と話している。