搬送された救急患者の状態を確認する医療スタッフ=小松島市の徳島赤十字病院

 新型コロナウイルスの感染拡大で徳島県内の医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、主に感染者以外の重篤患者を受け入れている徳島赤十字病院(小松島市)への救急搬送が急増している。救急医療の中核を担う県立中央病院(徳島市)が新型コロナ患者の治療に重点を置き、他の傷病患者の救急受け入れを制限しているためだ。赤十字病院の医師らは「このまま感染者の増加が続けば医療が崩壊する。助けられない命が出てくる」と危機感を募らせている。

 赤十字病院は、重傷事故や心臓病など深刻な傷病者を治療する3次救急医療機関。県内では他に、中央病院、徳島大学病院(徳島市)、県立三好病院(三好市)の3病院が指定されている。

 3次救急機関の負担が増えたのは、中央病院の入院患者が4月8日に新型コロナ陽性と判明したのがきっかけだ。9日から救急受け入れを制限した後、17日以降に小児科を除く救急受け入れを原則停止している。中央病院に搬送していた患者の治療は他の病院でカバーしなければならなくなった。

 これを受け、赤十字病院への救急搬送も急増。中央病院が制限を始めた4月9日を起点とし、集計がある前後19日間の赤十字病院への救急搬送を比較した場合、制限前(3月21日~4月8日)の246件に対し、9~27日は300件と22%も増えた。後藤哲也院長は「どの病院とも職員の負担が増えている」。

 赤十字病院高度救命救急センターの看護師は「現場は手いっぱいの毎日が続く。とにかく早く新型コロナが収束してほしい」と訴える。院内12カ所の手術室は、どの時間帯もほどんど埋まっている。手術が重なり、なかなか自宅に帰れない医師もいるという。

 赤十字病院は安全な医療を維持するため市民の協力を求める。先日、体調不良の人がPCR検査を受けようと外来に訪れる事例があった。陰性だったが、複数の職員の手間が取られた上、もし陽性なら救急受け入れを停止して院内を消毒する必要があった。

 後藤院長は「新型コロナが疑われる場合は、まず保健所への相談をお願いしたい。重篤患者を助けるために多くの人に意識してもらいたい」と話している。