看板メニューの「唐揚げプレート」(850円)。ひとつずつのサイズを大きめに、食べ応えを感じられるように仕上げた。

「店をオープンさせるきっかけを与えてくれた母には感謝ですね」と松本さん。最近、コーヒーソムリエの資格を取得した。

 店を持つ、ということ。店舗を作り、インフラを整え、メニューや料金を決める。どうすれば集客につながるか、来てくれた人に喜んでもらえることは何か。頭を悩ませ、アイデアを実行に移していく。決定権は自分にあり、その責任も負う。二十代で店主という道を選んだ人たちを訪ねた。

kitchen bar M 松本瑶史さん(22・徳島市出身)

 両国橋の通りから東へ入ったところ、オレンジの看板を目印に路地を進むと「kitchen bar M」が見えてくる。木で縁取られた窓枠や「M」と描かれた扉がお洒落な店構えだ。「店のデザインは若者向けのような感じやけど、子どもやご年配の方にも気軽に足を運んでほしいです」と話すのは店長の松本瑶史さん。コーヒーソムリエの資格を持つ母とふたりで店を切り盛りしている。

 店はランチやコーヒーを楽しめるカフェとお酒がメインのバーを融合させたような形態。ランチタイム(11:30~15:00)には「生姜焼きプレート」(850円)や「唐揚げプレート」(850円)といった定食メニューが登場する。中でも唐揚げは何度も試作を繰り返した特製ダレに漬け込みカリッと揚げた自信作だ。日が暮れはじめると「すだち鶏のコロコロ焼き」(880円)や「ガーリックシュリンプ」(580円)など、ビールやウイスキーに合う一品料理がお目見え。「材料があれば夜でも昼のメニューを作るし、お酒は昼飲みもできるんですけどね」と松本さん。そんなラフな営業スタイルが「kitchen bar M」の魅力だ。

 松本さんが飲食関係の仕事を始めたのは18歳のころ。それまで調理をしたことはほとんどなかった。とりあえずやってみよう、と足を踏み入れたのがこの業界だった。居酒屋で働いていたある日のこと。「先輩が出汁巻き卵を作っているのを見たんです。きれーに卵を巻く姿がカッコよくて、自分もこんな風にできるようになりたい!と憧れを抱くようになったんです」。そこから徐々に、この世界の魅力に引き寄せられていった。居酒屋、ダイニングバー、もつ鍋店と経験を重ねるうちに“いつか自分の店を持ってみたい”と思うようになった。

 飲食店で働き3年が経ったころ、母から突然「一緒に店、やってみんで?」と言われた。コーヒーを提供する店をしたいと考えていた母からの提案だった。「ほんまに急でした。どうする?というよりはもうやるけん!という半ば強引な感じで。勢いでスタートを切ることになりました(笑)」。松本さんが手がける料理と母が淹れるコーヒーを柱としたカフェ&バーに決まった。オープンしたのは昨年の6月。新型コロナの影響で工事に必要な資材が揃わず、予定より3カ月遅れの開店となった。「タイミングもタイミングだったので、最初は不安が大きかったですね」。手探りで突き進んできたこの1年弱はあっという間だった。経営を任され“店を運営する”ことの難しさを実感する日々だ。しかし松本さんは「料理をしているときもお客さんでにぎやかな時間も、全部が楽しいんですよ」とチャーミングに笑う。親子が織りなす食事とこの人柄が「kitchen bar M」にお客を引きつける。

 今後は「食事だけでなくコーヒーやお酒を飲みにふらっと立ち寄れるような空間」を目指して店を進化させていく予定。酸味が少なく濃い味わいの「オリジナルブレンドコーヒー」(350円)やトロピカルでフルーティーな口当たりが印象的な「BAD HOP BUZZ HIGHER CRAFT BEER」(1本1800円/なくなり次第終了)、毎月ラインアップが変わるクラフトビール(550円)などを楽しみに、肩肘張らないリラックスした時間を過ごしに行こう。

メニュー
・日替わり弁当(540円/テイクアウト)
・出汁巻玉子(480円/夜メニュー)
・豆腐サラダ(680円/夜メニュー)

住所=徳島市新内町1-13(コーポ七福1階)
080-9837-1116
営業時間=11:30~LO22:30
定休日=月曜休

駐車場:なし
完全個室:なし
多機能トイレ:なし
座敷席:なし
Wi-Fi:あり
開店:2020年6月