ホーム自由席(ゴール裏)で観戦してきた記者(サポーター見習い)。中央前方は、熱心なサポーターが集まる場所で初心者にはハードルが高いと感じていました。後方やサイドに座って声援を送っていましたが、もっとチャントを聞いてみたい。26日の松本山雅戦では、先輩サポーターの吉崎佳奈子さんにお願いして、一緒に観戦しました。
いつもはスタンドに向かうのがキックオフ前ぎりぎりになるのですが、今回は20分ほど前に入場。すると、コンコースで吉崎さんが何かを配っています。チャントの歌詞カードです。キックオフ前に歌う「第九」に始まり、勝利のパフォーマンスで歌う「立ち向かえ」、それぞれの選手チャントやコールも。歌詞に加え、「手拍子」や「拳をあげながら」などの文字もあります。
サポーターの有志が作ったカードを配っているそうで、別のサポーターと協力して、初めてゴール裏で観戦する人に「一緒に応援して選手を後押ししましょう」と呼び掛けています。手に取る人が多く、中には「頑張って覚えました!」という声も。トイレの場所を尋ねる人には、丁寧に案内しています。同僚記者(WEB担当)が「去年よりゴール裏に人が増えた気がするし、雰囲気がいい」と言っていましたが、こうした活動が実を結んでいるのでしょうか。
いよいよスタンドへ。いつも見る後方や横とは違って、ゴールポストが正面に見える位置で、前方寄り。拡声器や太鼓・鉦を持つ人がすぐ目の前にいますし、大きなフラッグが頭に触れそうなくらい近くで、はためいています。立ち上がってタオルを掲げて「第九」を歌うと、試合開始です。
拡声器を持ったコールリーダーが試合展開を見ながら、場面に合わせたチャントを歌っていきます。速く駆け上がっているときにはチャントも速く、ボールを回しながらチャンスをうかがっているときはゆっくりめに。周りを見渡すと、歌に合わせて飛び跳ねたり拳を突き上げたり、手拍子したり。ピッチから目を離さずに、一体感のある応援をしています。みんな立ち上がって集中している。
鉦の音が加わると、得点の予感がしてきます。いいプレーをした選手には選手チャントやコールを。コールリーダーは、サポーターを鼓舞して応援を盛り上げていたらほとんど試合なんて見られないんじゃないか…と思うのに、瞬時に試合展開を見極めているようです。
前半はシシーニョ選手の惜しいゴールシーンがあったものの、勝負は後半へ。
この試合でケガから復帰した岩尾憲キャプテンのPKの場面では、ゴール裏も緊張感に包まれます。ゴールポストに跳ね返されたボールを岩尾選手がもう一度蹴ってネットを揺らすと、サポーターたちは大歓声!思わず近くのサポーターとハイタッチします。なのに、ノーゴール…?なぜ?「別の選手が触らないで、続けて2回蹴っちゃダメなんだよ」と近くにいるサポーターから教えてもらえるのもゴール裏のいいところ?ひとつルールを覚えました。
岩尾キャプテンの幻のゴールはもう1回。得点にはなりませんでしたが、サポーターの雰囲気は一気に明るくなった気がします。「いける!」「取れる!」応援の声と手拍子が一層大きくなります。何度もボールを奪って、ゴール前に攻め込み、ついに島屋八徳選手が見事なシュート。近くのサポーターとハイタッチ!ハイタッチ!
逆転を目指して最後まで攻め続ける選手たち。終盤には必ず聞こえてくる「立ち向かえ戦士たち」の歌声を、今回は一緒に立ち上がって歌います。大きな声では歌えないし、拳をあげるのはまだちょっと恥ずかしい。手拍子とちっちゃな声ですが、応援の気持ちを精いっぱい込めます。最後にシュートを放ったのは、大﨑玲央選手。本来の役割ではない攻撃にも参加して、全員で得点を狙う姿に引き込まれました。試合終了後、サポーターからは拍手と「お疲れさま」の声が選手に送られました。
試合中は、記者(サポーター見習い)の目の前を大きなフラッグが行ったり来たり。タオルを上手に回すのもコツがいるのに、きれいにフラッグをはためかせるなあと見入ってしまいました。周りのサポーターは「これがゴール裏名物?のフラッグで試合が見えない問題。でもこの場所ってこういうものなんだよね」と笑いながら教えてくれました。
たしかに試合中は視界を遮られることもあります。が、フラッグでピッチが見えなくなる座席はごく一部。ゴール裏でも後方やサイドに座るとゆっくり見ることができます。
応援も、広いホーム自由席の中ではいろいろなスタイルがあります。後方やサイドでは、席に座って手拍子をする人が多く、メインスタンドやバックスタンドからも手拍子が聞こえてきます。今回お邪魔した中心部は、プレー中はみんな立ち上がって、歌ったり手拍子したり、飛び跳ねたり。
記者(サポーター見習い)は鳴門ポカリスエットスタジアムのゴール裏しか知りませんが、別のスタジアムではゴール裏には座席がなく、立ち見で応援するところもあるのだそう。自分の応援スタイルに合わせて、応援する席の位置を選びたいですね。
ゴール裏中心部での応援は楽しい!でも、試合が見やすいわけではない。熱心なサポーターの皆さんは、なぜあの場所で応援しているんだろう? 初めてのゴール裏中心部体験は、サポーターの熱に圧倒されてしまったので、もう一度挑戦したいと思います。