老人ホームに入所する母親(中央)をガラス越しに祝福する家族=徳島市住吉4の仙寿園

 新型コロナウイルスの流行が長引く中、県内の高齢者施設では入所者とその家族らが、ガラス越しやオンラインで対面する機会が増えている。施設内感染のリスクを避けるため昨春から面会制限が続いているが、「母の日」には互いに顔を見て感謝の気持ちを伝え合ってもらおうと、各施設が工夫を凝らした。

 「お母さんの大好きな紫の花とスイカを持ってきたよ」。8日、特別養護老人ホーム・仙寿園(徳島市住吉4)に入所する瀬山シズヱさん(99)を、長男の妻瀬山千恵子さん(73)と長女藤本久恵さん(74)が訪ねた。3人が面会したのは正面玄関。新型コロナの流行前までは居室で会えたが、昨春からガラスの自動ドア越しに面会する方法に変更された。

 持参したお祝い品を職員に預け、「私のこと忘れとらんで」と冗談を言い合いながら互いの健康を気遣った。「来てくれてありがとう」「また来るけんな」。車いすで居室に戻るシズヱさんを手を振って見送った千恵子さんは「ガラス越しでも会えば心が和む。元気な顔が見られて良かった」と話した。

 こうした形で面会を認めている施設は多い。美馬市美馬町の特養・ケアプラザみまと海陽町の海南荘は、入所者の居室の窓からの面会を許可。阿南市宝田町の阿南荘は、現在は休止しているが、4月末までアクリル板で隔てた面会室で会えるようにしていた。

 オンライン面会もここ1年で定着した。小松島市小松島町の千歳苑は無料通話アプリ「ライン」のビデオ通話機能を使い、スマートフォンやタブレット端末を通して顔を見ながら会話できるようにしている。

 健祥会グループは昨春からビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」やラインの活用を始めた。東みよし町の特養・健祥会たんぽぽでは9日、入所者と家族がタブレット端末を使ってオンラインで交流した。入所する仁尾ハマ子さん(92)は画面越しで長女らに向かって手を振り、「元気でおるけんな。いつもありがとう」と声を掛けた。

 竹谷孝子施設長(69)は「家族の顔を見ることで入所者の寂しさや不安が少しでも和らげば。直接触れ合える日が早く来てほしい」と話した。