半世紀にわたり活躍したボンネットバス(四国交通提供)

 徳島県三好市の観光地・祖谷渓や大歩危峡などをツアーで巡る四国交通(同市井川町)のボンネットバス「秘境の小便小僧号」が、11月に引退する。半世紀にわたる運行で老朽化が進み、維持するのが難しくなった。四国交通は「地域の人に感謝したい。ラストランを多くの人に見届けてほしい」とツアーの予約を受け付けている。

 バスは全長8・2メートル、幅2・4メートル、高さ3メートル。1966年に生産された当初は路線バスとして運行し、82年から観光用となった。丸みのあるボンネットなどのレトロな雰囲気が、乗り物ファンや年配客から人気を集めている。

 ハンドル操作を助けるパワーステアリングを装備しておらず、運転手のハンドルさばきも名物の一つ。約20年にわたって運転してきた安東明男さん(61)は「ハンドルが重くて慣れるまでは時間がかかった。乗り慣れたバスが引退するのはやっぱり寂しい」と話す。

 修理箇所は年々増えているものの、部品の多くは生産しておらず、維持するのが次第に困難となった。本来は昨年引退する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で稼働が激減したため1年延ばした。

 四国交通営業部の原田佳彦課長補佐(42)は「安全な運行を守るため、苦渋の決断となった。最後の機会にボンネットバスを見たことがない人にも乗ってほしい」と、ツアーへの参加を呼び掛けている。

 ツアーは6月までと10~11月の土日祝日に催す。ボンネットバスにエアコンがないため、7~9月は別の車両が運行する。JR阿波池田駅を出発し、祖谷のかずら橋や祖谷渓の小便小僧などを巡る。郷土料理の昼食や大歩危峡での遊覧船乗船もある。乗客には記念乗車券を配る。

 定員は、新型コロナ対策のため通常の半数以下の11人。料金は8800円(小学生以下8500円)。問い合わせは四国交通阿波池田バスターミナル、電話0883(72)1231。