古川学さんが釣ったアメゴとイワナの雑種(県立博物館提供)

那賀町の釜ケ谷川で釣られたイワナ(上)とアメゴ(古川学さん提供)

 アメゴ(アマゴ)とイワナとの雑種が、徳島県那賀町沢谷の釜ケ谷川にすんでいることが分かった。サバのような迷路状の模様をしているのが特徴。両種の雑種が確認されたのは県内で初めて。県立博物館の脊椎動物担当学芸員井藤大樹さんによる遺伝子分析と魚体の計測などの調査で明らかになった。

 この雑種は、徳島市内の古川学さん(45)が昨年釣った2匹。「雑種か、新種ではないか」と井藤さんに調査を依頼した。古川さんは、釜ケ谷川周辺で約5年前にイワナを初めて釣り、雑種のような魚は2、3年前に釣れ始めたという。釣り人の間で「カワサバ」とも呼ばれていた。

 井藤さんによると、アメゴは徳島など四国に元々いるが、イワナはいない。県内では、穴吹川で放流されたとみられる個体が1995年に初確認されている。

 井藤さんは、今回見つかった雑種2匹の他、イワナ6匹、アメゴ3匹を対象に比較調査。雑種2匹はイワナと全く異なる迷路状の模様をしているが、イワナが母魚であることをミトコンドリアDNAの塩基配列を分析して突き止めた。

 体の特徴を見ると、尻びれの筋(鰭条)の数や脊椎の骨の数、口の中の歯がある範囲が、イワナとアメゴとの中間の値を示した他、うろこの枚数はアメゴと一致するなどしていた。

 アメゴあるいはヤマメ(アメゴの近似種)とイワナの雑種は、岐阜の揖斐川でも見つかっており、模様や歯の特徴が井藤さんの調査結果と一致した。

 アメゴとイワナの雑種は一代限りで、二代目以降では繁殖力がほとんどないことが、国の機関による実験で分かっている。

 井藤さんは「イワナの放流によって繁殖力のない雑種が多く産まれれば、徳島に元々すむアメゴが減少する可能性がある」と話している。

 井藤さんの研究論文は、3月に発行された同館の研究報告第31号に掲載されている。